小説(リボーン)連載

□遊園地Y
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そしてトラの前には獄寺と、その腕に絡みつくベルの姿が。
 
「………」
 
獄寺は、目の前のトラと腕にくっついている自称王子を見比べる。
その行動の意味に気づいたベルは嬉しそうに笑った。
 
「しししっ、隼人、俺とこのトラが似てるって思った?」
 
「なっ……誰がそんな…!!」
 
「へ〜…“アムールトラ。世界最大のネコ科。対抗出来るのはライオンだけといわれる”…だって。ししっ、王子強ぇ〜」
 
「全っ然似てねー!!てか日本語読めたのかよ?!」
 
「そりゃ、こっちにいるの長いからね〜」
 
今までは平仮名すら読むのが危うかったベル。
だが漢字まで読めている。
さすがだ…と、少し関心してしまう獄寺だった。
そしてベルとこのトラが似てるな、と思ったのは本当。
しなやかな金色の身体に黒い横しまの柄。
でもコイツの髪の方が綺麗だな…そう思ったところでハッとする。
今自分は何を考えていた?!
周りの雰囲気に飲み込まれるな!!
必死に自己暗示する獄寺だった。
 
 
 
キャットワールドと言っても、ネコ科ばかりがいるわけではない。
 
「可愛い〜のな〜」
 
そう言う山本の前には、黒と白という単調な色の生き物。
バクである。
説明文を読んで見ると、マレーバクとある。
 
「可愛い…かぁ?」
 
スクアーロがそのマレーバクを覗き込む。
ブタのような丸い体に、鼻とも口ともわからないものが長く伸びている。
動きも鈍そうだ。
 
「うんっ、なんか可愛くね?」
 
振り向いてニカッと笑う恋人に、スクアーロは「おまえの方が可愛いぜぇ」という台詞が出そうになるのを懸命に抑えていた。
 
 
 
 
「ねぇリボーン」
 
ツナが近くにいた家庭教師にボソッと話しかける。
 
「何だ?」
 
「今日…てか動物園に来てから、みんなのテンションが少しおかしい気がするんだけど…。なんていうか、オープンって感じ?」
 
「動物を見て、本来の野生的な感情を思い出したんだろ」
 
「んな馬鹿な!!」
 
「俺もそうだぞ。な、マーモン」
 
隣に引きずってきたマーモンにふる。
 
「僕は何も知らないよ!!関係ないよ!!勝手に野生に戻ってて!!」
 
全力で拒否するマーモン。
それに苦笑いするツナだが、次の瞬間、恋人に引っ張られて彼の野生的な感情を存分に受けるのだった。
 
 
 
 
次のコーナーの走鳥類もこんな雰囲気で堪能し、次に見えたのはこれまた定番のゾウ。
 
リボーンは時計を見てニヤリと笑う。
その笑みを見てしまったマーモン。
逃げ出したいが逃げ出せない状況に、もはやため息をつくしかなかった。
どうか自分にだけは火の粉がふりませんように!!
そう願うのだった。
 
 
 

 
 
→後書き
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