小説(リボーン)連載

□文化祭U
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「よぉ」
 
 
ガチャガチャーンと盛大にトレーとその上のものが落ちた。
何やってんだと言いながら目の前の人物はツナが落としたものを片づけている。
 
……冗談じゃない。
 
今彼がここにいるわけがない。
 
 
 
「おい」
 
「はははいっ」
 
「案内しろ」
 
「は……はい」
 
とりあえず席につかせて、改めて話を聞くことにした。
 
 
 
「…………」
 
ツナはかなりの冷や汗を流していた。
 
それもそのはず、彼は――……
 
 
「あの…何でここに…ザンザス」
 
「コーヒー」
 
「えぇと……」
 
会話が成立していない。
 
「今…イタリアにいるはずじゃ…?」
 
「…コーヒー持ってきておまえも座れ」
 
「今仕事中……」
 
「………」
 
言っても聞いてくれなさそうだ。
ツナは、とりあえずザンザスの言う通りにしてみることにした。
 
 
 
 
 
「……で」
 
「なんだ」
 
ずずっとザンザスはツナが運んできたコーヒーをすする。
 
「なんだじゃなくて、何でここに?今イタリアのはずでしょう」
 
先程と同じ事を聞く。
ザンザスは「あぁそのことか」と軽く言う。
 
「おまえの家庭教師が呼んだんだぜ。文化祭ってやつがあるとかで」
 
「仕事は…?」
 
「スクアーロに任せてきた」
 
……いいのだろうか。
 
「簡単な仕事だ。カス共だけで十分だ」
 
「…いや、心読まないで…」
 
リボーンといいザンザスといい、読心術はやめてほしい。
 
 
「でも、たかが文化祭でわざわざ来るなんて…」
 
しかもイタリアから。
 
「おまえのメイド姿を見にきた」
 
「………」
 
そこはつっこんでほしくなかった。
 
「似合うぞ」
 
大真面目な顔で言われた。
 
「あ…ありがとう…?」
 
いや、ここは否定すべきか。
 
「可愛い」
 
「いや、男に可愛いは……」
 
「持ち帰りてぇ位」
 
「アハハ…お断りします…」
 
「今すぐ押し倒してぇ位」
 
「アハ……ハ?!」
 
今何か恐ろしい事を言われなかったか?
 
「大体、何でそんなにスカートの丈が短けーんだ。俺以外に見せてんじゃねーよ」
 
「いや、これを着る事自体俺は嫌だったんだけど…」
 
もう早く仕事に戻りたい。
まだ見知らぬ人を相手にしている方が気が楽だった。
 
だが、そんなツナの願いを打ち消すように入口の方から明るい声が聞こえてきた。
 
 
「ツッく〜ん!!」
 
 
ハッと振り返るとそこには――…
 
 
「か…母さん…」
 
 
 
 
ツナの受難はまだ続きそうだった。
 
 
 
 
 
→後書き
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