小説(リボーン)連載
□文化祭(番外編)U
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「恭弥……スゲー綺麗……」
雲雀は元が綺麗な顔のため、薄化粧で十分だった。
これはたぶん、女装しているどんな男より…いや、女も顔負けの美人になった。
「貴方なんで化粧慣れてるの」
ディーノのメイクさばきは実に手際が良かった。
「ボスは何でも出来ねーとな。…というか、マフィアは変装とかも必要だからその為に仕込まれたってのが本当かな」
そんなもんかと思いながら、雲雀はその辺を歩いてみる。
……歩きにくい。
大股になると着くずれる。
顔の横にある髪も少し邪魔だ。
そのウィッグは肩と腰の中間位の長さでストレート。
純日本風な美少女がそこにいた。
「…これならバレないかな」
雲雀は鏡を見ながらそう呟く。
自分の女装姿なんて見たくはなかったが、見た目は思ったより普通である。
「よしっ、行くか!!」
そう叫んだディーノは、いつの間にか着物を着ていた。
周りの視線が痛い。
先程と比べものにならない程。
「みんな恭弥見てるな」
嬉しそうにたこ焼きを食べながら雲雀と並んで歩くディーノ。
「何言ってるの、貴方が目立ってるんだよ。金髪で着物なんて…しかもイタリア人だし」
「国はかんけーねーだろ?1回着てみたかったんだよなー和服。それに、恭弥が着物なら俺も合わせなきゃおかしーだろ」
「………もうどーでもいいよ…」
半ば諦めてきた雲雀。
とりあえず校内で問題はないようだし…というかこの人だかりが問題だが。
「おっ」
「げっ」
正面から来た2人の声が重なる。
対して雲雀とディーノもそれに気づいた。
「よぉ、山本とスクアーロじゃねーか」
「ども」
「なんだおまえらその格好はぁ」
「でもディーノさんと雲雀、2人共似合ってるのな〜」
「そっかぁ?まぁな〜」
なっ恭弥、と雲雀を見るディーノ。
だが、逆に睨み返されてしまった。
「…ちょっと…思いっきりバレてるんだけど」
しかも鈍感で有名(?)の山本に。
「しかし雲雀、綺麗だなぁ〜。ディーノさんもいい感じにミスマッチだし」
笑いながら山本が微妙な褒め方をする。
それに反応したスクアーロ。
「武っ!!」
「ん?」
「いや…その…」
そんな奴らを褒めるなと言いたいが、言葉につまる。
恐るべし山本の微笑みパワー。
「そだ、スクアーロ。俺らも着物着てみねぇ?刀さしてさぁ〜」
「おっ、いいかもなぁそれ。やるかぁ」
「袴でもいけるかも」
「袴ぁ?」
「剣道っつー剣術の正装みたいなもんかな。なかなかいいぜ」
「着たことあんのかぁ?」
「あぁ、親父から借りてな。俺、なかなか似合うぜ?」
「う"お"お"い!!マジかぁ!!早く着替えるぞぉぉ!!」
もはや2人の世界。
雲雀が何故女ものの着物を着ているかなどどうでもいいようだ。
話しながら行ってしまった。
「…なんか…羨ましい…」
ディーノがボソッと呟く。
「何が」
まだ不機嫌な雲雀。
「恭弥〜、俺もあんなラブラブな会話してぇなー」
「馬鹿じゃないの」
一蹴。
「それより、これで本気で戦うんだよね」
「あ…まぁ…」
どこまで戦闘好きなんだ恭弥…。
「でも今日は無理だな」
「何で」
「部下がいないから」
「………」
部下のいないディーノのダメっぷりは、以前雲雀も見て覚えていた。
「…しょうがないね。今日はお預けか」
本当に残念そうな雲雀。
逆にディーノは嬉しそうにしていた。
「という訳で、今日は思いっきりラブラブしような、恭弥っ」
公衆の面前で言ってのけたディーノに、この後トンファーが飛んでくるのは明らかであった。
→後書き