小説(リボーン)連載

□遊園地]
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皆が乗り込むと、横からドンッという大きな音が。
何事かと見てみれば、なんとすぐ近くで花火が上がっていた。
 
 
骸はランボを抱いて座っていた。
重みが片方によっているので多少傾いている。
 
「ほら、花火ですよ、ランボ」
 
「キレー!!」
 
骸は微笑み、そして少し申し訳なさそうな顔をした。
 
「……ランボ、すみません。少しの間お別れです」
 
「ふ?」
 
その途端、ランボが煙で包まれる。
骸が10年バズーカを撃ったのだ。
 
膝の上の軽かった体重が重くなる。
 
「……れ?む、骸さん?!」
 
煙が晴れると、大人ランボが骸の膝の上に座っていた。
観覧車の一室がさらに傾く。
 
「え?あの…?」
 
混乱中なランボ。
骸はフッと笑い、10年後の恋人をぎゅっと抱きしめた。
 
「すみません、急に呼び出して。最後くらいはこんな事もしたいと思いまして…」
 
そう言ってランボに優しく口付けをする。
そして耳元で囁いた。
 
「5歳の君も好きですが、成長した君も好きですよ」
 
外の大音量の花火の音も遠くに聴こえる程、ランボは自分の心臓の音が大きくなるのを感じるのだった。
 
 
 
その下では、ルッスーリアと了平が花火に夢中だった。
 
「見て見て了ちゃんっ、今の綺麗だったわね〜」
 
「極限にな!!」
 
「外は花火、私達は観覧車に2人きり……いいわねぇやっぱり」
 
「何がだ?」と天然を全開にする恋人に詰め寄るルッスーリア。
そしてサングラスを外す。
それに了平が見惚れている間に、その可愛らしい唇にチュッと軽いキスをした。
 
「…………は?」
 
しばらく呆然としていた了平だが、数秒してキスをされたのだと気づく。
 
「おっ…おまっ……」
 
そんな様子にクスリと笑い、ルッスーリアはサングラスをかけながら言った。
 
「せっかくこんなにロマンチックなんだもの……ね?」
 
「………まぁ…な…」
 
耳まで真っ赤に染めてそっぽを向く了平に苦笑するルッスーリアだった。
 
 
 
「…………」
 
「…………」
 
他とは違い気まずい空気が漂っているのは、ディーノと雲雀が乗った一室。
 
「きょ、恭弥…?」
 
「…………何」
 
たっぷり間を空けて返事をする雲雀。
何故こんなに気まずいかというと、先程乗り込んだ時にディーノが危うく落ちそうになり雲雀に引き上げてもらったのだが、その時に勢い余って押し倒してしまったのだ。
まぁ、それだけなのだが。
 
「さ、さっきのは悪かったって…」
 
オロオロするディーノ。
それを見て雲雀はクスリと笑った。
 
「きょ、恭弥?」
 
「ホント、貴方って面白い。僕があんな事で怒ると思ってるの?」
 
思ってますけど…というのは言わないでおこう。
 
「じゃあ何でさっきから黙って…」
 
「面白かったから」
 
「なっ……」
 
こっちは散々悩んでいたというのに…。
 
「貴方の慌てぶりを見るのは好きだよ」
 
そう言うと、雲雀はディーノの胸ぐらを掴んで引き寄せ、触れる程度のキスをした。
それでも普段彼からする事は滅多にない訳で。
ディーノは口を押さえて真っ赤になる。
 
「今は大勢で群れてないからね、ご褒美」
 
「っ恭弥ぁ〜〜っ!!」
 
抱きつくディーノだったが、「花火が見えない」とすぐに引き剥がされてしまったのだった。
 
 
 
 
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