小説(リボーン)連載

□遊園地W
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……とうとうきた。
そう、遊園地といえばお約束。
 
 
「次はお化け屋敷だぞ」
やっぱり――っ!!
 
 
お化け屋敷の前まで来ると、一層足がすくみそうになった。
“呪”と書かれた旗。入口は黒い幕が垂れ下がっており、中は見えない。
何より恐怖心を煽るのは、時たま中から聞こえてくる悲鳴だった。
出口から出てきた者を見れば、笑っている者もいたが、顔色が真っ青になっている者もいた。
半泣きしている者さえいる。
 
ツナは入る前からすでに涙目だった。
ジェットコースターも苦手だが、それより何よりお化け屋敷は問題外だ。
以前肝試しをしている為それは十分わかっているだろうに、あえて入らせようとする鬼畜家庭教師、リボーン。
キッと己の家庭教師を睨むも、無視されてしまう。
何かをガサゴソ用意している。
どうやらまたクジでペアを決めるらしい。
…ランボとだけは絶対ごめんだ。
彼は例え10年後でも怖がりだろう。…いや、少しは頼もしかったが。
 
 
 
入るのがお化け屋敷とだけあって、みんなやる気満々だった。
全ての運をこのクジにかける。
 
 
「見てて下さい10代目!!必ずや貴方とペアになってみせます!!」
 
「リボーンと別…リボーンと別…」
 
「今度こそ武と楽しみてぇぞぉ〜」
 
「…ど…どうか平和に終わりますように…」
 
 
それぞれがいろんな思いをかけてクジを引いた。
 
その結果――
1組目、ツナとマーモン。
2組目、ディーノとランボ。
3組目、スクアーロと獄寺。
4組目、ザンザスと骸。
5組目、雲雀とリボーン。
6組目、ベルと山本。
7組目、ルッスーリアと了平。
 
 
 
「っっ了ちゃぁ〜〜んっv」
ルッスーリアが了平に飛び付く。
 
「やったわやったわ〜!!これもきっと愛の力ねv」
 
そんなルッスーリアを支えながら了平も「俺も極限に嬉しいぞ!!」と言う。
そんな光景をじとーっと横目で見る数名。
 
「チッ、クジに細工でもしとくんだったな…」
 
恐ろしげな事を言いながらマーモンを睨みつけるザンザス。
 
「ひぃっ。…綱吉と一緒は嬉しいけど、ボスが怖い……」
 
結果、思わずツナにしがみつくマーモン。それが逆効果だとも気づかずに…。
 
その横ではディーノが冷や汗を流していた。
彼のペアはあのランボ。いや、ランボ自体は騒がしい位で大して問題はないのだが、何しろ恋人があの骸である。
先程のスクアーロの二の舞になりかねない。いや、なるだろう。
現に今だって物凄い殺気がこちらに向けられている。
 
なのにこの幼い彼は、そんなディーノにさらに追い討ちをかけた。
 
「ランボさん疲れたからおぶって〜」
 
そう言いながらよじ登ってきた。
 
「ちょっ……」
 
殺されるからやめてくれと叫びたいが、何せ相手は5歳の子供。
結局はランボをおぶり、殺気を浴び続けるのだった。
 
それを楽しそうに眺めているのは少し離れた所にいる雲雀。
 
「たまにはあーゆー目に会った方がいいんだよ」
 
くつくつと笑い、本当に楽しそうである。
リボーンとペアというのもあるのかもしれない。
 
「精神が鍛えられるな」
 
前家庭教師もニヤリと笑い、そう呟いた。
 
 
それとはまた違った雰囲気の4人がいた。
 
「う"お"お"お"い!!こりゃあ交換した方が良くねぇかぁ?!」
 
スクアーロが提案する。というか自分が山本とペアになりたいだけだ。
だが先程に比べればずいぶんと楽になっただろう。…精神的に。
 
「な〜に言ってんのスクアーロ、あのアルコバレーノに殺されるよ?クジの意味ないじゃん」
 
山本のペアであるベルが言う。
自分も獄寺とペアになりたいが、まだ死にたくはない。
 
「俺はむしろこのままでいい」
 
ベルとスクアーロを天秤にかけてみて、断然スクアーロの方がましだと考えた獄寺。
山本も「いろんな奴と組んだ方が楽しいんじゃね?」と現状維持に賛成。
 
「………」
 
自分の意見を誰にも受け入れてもらえずいじけるスクアーロ。
そんな彼を山本が優しく慰めるという構図にベルはいろんな意味で獄寺を見、獄寺は顔色を悪くしていた。
 
 
さてまたもう一方に戻ると、ツナがザンザスを叱っていた。
どうやらマーモンを睨んでいたのがバレたらしい。
 
「クジで決まったんだからマーモンは悪くないよ?何でそんな殺気すら出る勢いで睨んでんの」
 
我が子を守るようにマーモンをギュッと抱きしめるツナ。
それがいけないのだが、マーモンは恐怖で、ツナは天然でその事に気づかない。
 
「とにかく、骸と喧嘩だけはしないでよ?!」
 
2人が暴れたりなんかしたら、周りは巻き込まれて死者すら出かねない。
 
「…わかった」
 
複雑な顔で頷くザンザス。
それでも満足したのか、ツナはニコッと笑い「また後でね」と言った。
 
実はツナは、本当はザンザスとペアが良かったのだ。
どんなにお化け屋敷が駄目でも、彼となら平気な気がした。
闇も怖くないと思った。
だがマーモンも心強い。
きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせるツナ。
 
「……でも、怖いものは怖いんだよぉ……」
 
もう一度、ギュッとマーモンを抱きしめた。
 
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