小説(リボーン)連載

□お泊まり
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「……で、こうなったわけ?」
 
ツナはため息と共にそう呟いた。
 
 
 
並盛銭湯。
ディーノが家の風呂を壊してから頻繁に来るようになったのだが、これがなかなかいい。
料金は安いが中は広い。
意外と綺麗でボディーソープからシャンプーとリンスまで常備してある。
お湯はどうやら疲労回復だとか肌が若返るだとかまぁいろいろ効果があるらしい。
 
だが今のツナには、ここに来て疲労が回復出来るとは思わなかった。
いや、むしろ疲れる。
そりゃあそうだ。
何しろメンバーがメンバーなのだから。
 
 
 
「10代目!!お背中お流し致します!!」
 
「じゃあ俺隼人の背中流す〜」
 
「なっ、いらねぇ!!さっさと帰りやがれ!!」
 
いつも通りの獄寺とベル。
それを楽しそうに見ている山本。
顔が軽く青ざめているスクアーロ。
そして背中にへばりついているザンザス。
それを遠くから見つめるマーモン。
 
……今すぐ帰りたい気分だった。
 
 
と、スクアーロと目が合う。
 
 
「「……………」」
 
 
目で伝わった。
お互い、大変だな…と。
 
どうやら全て山本が仕組んだ事らしい。
いや、別に悪気はないとは思うのだが。
 
何故このメンバーかというと、単に他の人達は誘ったが来られなかったから、らしい。
ランボは寝てしまい、そうすると必然的に骸も来ない。
ディーノはイタリアで、雲雀は風紀委員の会議。
了平はルッスーリアと格闘技観戦で留守。
リボーンは何やらボンゴレから緊急で呼ばれ、イタリアへ一時帰国。
そんなこんなで、こんなメンバーになったのだった。
 
 
 
「ザ…ザンザス?体洗えないよ…」
 
「洗ってやる」
 
「いいよっ。…あ、マーモンおいで、体洗ってあげるっ」
 
マーモンがパアァァッと目を輝かせ(周りからは見えないが)、ツナの元に走っていく。
それが気に入らないのか、ザンザスがツナの背後からギロッと睨んだ。
 
「ひぃっ……………ぶへっ」
 
それにびびったマーモンが、思わず濡れた床で滑り盛大にコケた。
 
 
「っ…ぷっ……アハハハハッ、マーモン可愛い〜!!」
 
ツナはひとしきり笑うと、自らの失態にまだ呆然としているマーモンの元へ行き、立たせてやった。
そして………
 
「もうっ、ホントに可愛い〜v欲しい〜!!」
 
と言って、あろうことかザンザスの目の前でギュ〜ッとマーモンを抱きしめたのだ。
 
「ちょちょちょちょっと綱吉っ」
 
マーモンは慌ててそれから逃れようとする。
ツナに抱きしめられる事自体はむしろ大歓迎なのだが、何しろ遠くから睨みまくっている人物が怖い。
 
 
そんなやりとりを遠くから眺めながら、スクアーロは山本と並んで体を洗っていた。
 
「つまりは広い風呂なんだなぁ」
 
「まぁな。でも気持ちいいんだぜ」
 
平和なのはこのペアだけだった。
 
 
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