短編小説置き場(その他)

□ブリーチドマイナー
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[京楽×ギン]
 
 
 
朽木ルキア処刑の少し前。
市丸ギンは京楽春水の部屋を訪れていた。
 
 
「おや、昼間っから来るなんて珍しいじゃないの」
 
京楽は驚いた様子もなく突然の訪問者を迎える。
 
「京楽隊長は相変わらずでんなぁ。昼間っから酒なんて」
 
笑い、ギンは向かい側に座る。
 
 
 
「………で、また今日はどうしたんだい?」
 
「ん〜………ボク、しばらく遠出しますんで、挨拶に来たんですわ」
 
「…………………現世へ出張でも行くのかい?」
 
「またまたぁ」
 
互いに一瞬笑い、次の瞬間無表情に変わる。
 
 
「…………やっぱり行くのかい」
 
「まぁ……」
 
「君がいなくなると、寂しくなるねぇ」
 
「それはおおきに」
 
 
「「…………………」」
 
京楽はため息をつくと、盃の中の酒を飲み干す。
そして次をつがずに盃を置いた。
 
 
「……今夜が、最後かい?」
 
「…おそらく」
 
「それじゃ、頑張っちゃおうかなぁ」
 
「アハハ、なんかオヤジみたいやで、京楽隊長」
 
そしてそのまま、なだれ込む。
人払いは済ませてあった。
 
 
 
 
 
夜。
1枚の布団に、大の男が2人、裸で横になっていた。
 
「……もう、京楽隊長って呼ぶ事もないんやろかなぁ…」
 
「じゃあ、春水さんなんてどうだい?」
 
京楽が寝ていると思っていたギンは、思わず目を見開いた。
 
「……呼びたいんやけどなぁ……どやろ」
 
 
「おや、もう会ってはくれないのかい?」
 
 
「え…………」
 
京楽はギンの細い身体を抱きしめる。
 
「現世でなら、会えなくもないんじゃない?」
 
「そやけど……」
 
「会いたいな、ギン」
 
「っ………」
 
耳元で囁かれ、ギンは真っ赤になる。
それを見られぬよう、京楽の胸に顔をうずめた。
そしてボソッと何かを呟く。
 
「……え?何だい?」
 
よく聞こえなかった京楽は聞き返した。
 
ギンは顔をうずめたまま、そのぬくもりにしがみつき、言った。
 
 
「……ボクかて、寂しいねん。そら会いたいに決まってますわ」
 
 
「ギン………」
 
その可愛さに打たれた京楽は、ギュッとギンを抱きしめる。
そして「じゃあ会おう」と言った。
 
「……そやかて、さっき“今夜が最後”って……」
 
「あぁ、うん。僕の部屋でするのは、今夜が最後かなぁって」
 
「なっ………わかりにくい言い方せんといてな」
 
「アハハ、ごめんごめん」
 
いつもの調子で京楽は笑う。
ギンもつられて笑った。
 
 
 
「……戻って、くるのかい?」
 
「それこそ、どやろなぁ」
 
「そうか。それじゃあ……」
 
「えっ?」
 
突然体勢が変わり、ギンが京楽を見上げる形になる。
 
「しばらく会えない分、今頑張るとしよう」
 
「なっ……ちょお待ち、ボクもう体力が……」
 
「大丈夫大丈夫」
 
「待っ…………」
 
 
結局、一睡も出来ずに長いようで短い夜はふけてゆくのだった。
 
 
 
 
 
 
――――――――――――――
シリアスにならないように、なるべく明るくしました。
ギンの口調がおかしいのは勘弁して下さい。
2010.08.08移動
 
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