気まぐれ小話

□知りたい
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「ディーノさん!!」
 
「おっ、山本じゃねーか」
 
駆けよってきた山本に、移動中だったディーノは振り返る。
 
 
「ちょっと聞きたい事があったんすけど……もしかして忙しいっすか?」
 
「いや、大丈夫だぜ。何だ?」
 
実際、そんなに急いではいなかった。
今日は後はただの視察くらいだし、そんなのはいつでも行ける。
 
 
「じゃあ……。実は、スクアーロの事についてなんすけど…。確かディーノさん、スクアーロと同じ学校に行ってたって言ってましたよね?」
 
「あぁ。まぁ、仲が良かった訳じゃないけどな」
 
というか話したのも数える程だったと思う。
 
 
「それでもいいんです。ただ……スクアーロの昔の写真、持ってませんか?!」
 
 
「は?」
 
 
思わず間抜けな声が出た。
 
何故に写真…?
 
 
「スクアーロ、昔は髪短かったらしいじゃないすか!!俺どうしてもその時のスクアーロが見たくて……でもスクアーロは写真なんか撮ってないし残してもないって言うし。ディーノさんだったら、せめて卒業アルバムとか持ってるかなぁって思って」
 
「あ…あ〜……確かにあるけど……」
 
「見せてもらってもいいっすか?!」
 
「あ…あぁ…」
 
山本の熱さに圧され気味なディーノ。
まぁ、アルバムくらい別にいいが。
 
 
「随分前の話だし、イタリアにあるからな。ちょっと時間かかるかもしんねぇけどいいか?」
 
「もちろん!!ありがとうございます!!」
 
そう言うと、山本は笑顔で去って行った。
 
 
 
「…ふぅ。んじゃ、一旦イタリア戻るか。ロマーリオ、手続き頼む〜」
 
部下にそう言った後、「アルバムくらい私がとってきますよ」と言われるディーノだった。
 
 
 
 
 
数日後。
 
「〜♪」
 
「う"お"お"い、機嫌いいじゃねぇかぁ武」
 
「スクアーロ!!あぁ、やっと見れたしな♪」
 
「?」
 
そう言えば山本は何か分厚いアルバムのような物を開いている。
 
「スクアーロって、短い髪も似合うのなっ」
 
 
「………は?!」
 
 
スクアーロは勢いよく山本の手からアルバムらしきものを奪い取る。
 
その開いてあるページには―――……
 
 
 
「こ…こりゃあ……」
 
 
学生の頃の自分。
 
短髪でまだ幼く、思いきり睨んでいる。
 
 
「う"お"お"お"い!!このアルバム、何処で手に入れたぁ!!」
 
「え、ディーノさんに頼んで…」
 
「跳ね馬……」
 
今度会ったらぶった切る!!
 
 
「スクアーロ、幼くてなんか可愛いのな」
 
「なっ……」
 
そう言って笑うおまえの方が可愛い!!と心の中で叫ぶスクアーロ。
 
 
 
「…しかし、昔の自分を見られるってのはなんか微妙な気分だなぁ…」
 
とりあえずアルバムは没収した。
 
しかし山本がすでに写真を印刷済みだという事は知らないスクアーロだった。
 
 
「でもこん時からいろんな流派の剣を受けてきたんだろ?なんかスクアーロが強いのも納得だよなぁ〜」
 
「じゃあそれに勝ったおまえは最強かぁ?」
 
「あ、そっか。俺スクアーロに勝ったんだ」
 
今思い出したというように軽く言われた。
負けたこっちは結構気にしているのに。
 
 
「でも、俺も昔っから野球ばっかだったなぁ〜」
 
「っ!!」
 
そういえば、自分も武の幼い頃を知らない。
そう思ったスクアーロは一瞬ニヤリと笑う。
 
「武、おまえは昔の写真とかはあんのかぁ?」
 
「あぁ。なんか大量にあるぜ。たまに親父が見てる」
 
親バカかぁ?
まぁ、それなら好都合だ。
 
「今度、おまえの昔の写真も見せろぉ」
 
「あぁ、いいぜ」
 
てっきり嫌がられると思ったが、ニカッと爽やかに笑ってそう返された。
 
やべぇ、可愛い。
 
きっと幼い頃の武も可愛いんだろうなぁ。
 
 
「とりあえず楽しみにしてるぜぇ」
 
そう言っておいた。
 
ホントに楽しみだ。
 
 
 
 
 
それから数日後、スクアーロはものすごく上機嫌だったそうな。
 
しかしあまりにデレデレしていて、キモイウザイとザンザスにボコられた。
だがそれすらも笑って過ごすスクアーロに恐怖したヴァリアー隊員。
 
ルッスーリアがスクアーロの落とした山本の幼少時代の写真を拾うまで、ヴァリアー本部内は恐怖と謎に包まれるのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
〜後書き…?〜
スク山です。
スクアーロは短髪でもカッコイイ!!
幼い山本はきっと可愛い!!
てかスクアーロ、ボコられても笑うとかって、Mじゃんι
ちょっとスク山ブーム到来?
2007.9.1

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