宿星三國史

□war.1 -転移-
1ページ/10ページ






俺は、夢を見た。


普段なら、例え見たとしてもすぐに記憶から掻き消され、断片一つ残らない。だから今回も跡形無く忘れ去って、同じような日常を繰り返す……筈だった。
でもその日だけは何故か、まるで何かが頭の中に直接刻み込んでくる様な……それ位、鮮明なものだった。


見た事の無い都市[まち]、その上空に現れたデカくて奇妙な(正確には不気味といった方が正しい気がする)、俺達の世界では有り得ない姿をした非現実的な鳥が翼を広げ、立ち尽くす人々に向かってこう告げた。


『憎悪【にくしみ】を其の身の内に秘め抱く者共よ。我が力が欲しくば従え』


この後、確か続きがあったような気がした…けど、肝心な所で部屋中に煩く鳴り渡る目覚まし時計の音に遮られ、慌てて目醒めて飛び起きてしまった。
何だったんだアレ、変なもの見ちまったな…まぁいいや、どうせすぐ忘れるだろ。
そう考え、何時もの様に気にせず起き上がった。


思えばその瞬間から、全ては始まっていたんだ。
当時の俺は、あの夢がまさか自分に関わるなんて、微塵も思っていなかった。ましてや……

























違う世界に飛ばされて、更に俺がその世界[ほし]の運命を背負うなんて、想像すらしてなかった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ