Short novel

□Prease answer me
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ねぇ ねぇ

兄さん 答えてよ

兄さん、僕だよ わかるでしょう?



Please answer to me







暗い暗い部屋の中。
虚しく光るパネルや、ドアの隙間から漏れだす光。
そのわずかな光に照らされた兄の姿は、画面の中で戦っていたそれとは大きくかけ離れていた。
先ほどまで流れ出していたであろう兄の血液は、その体に染み込み、乾ききっている。
息などはもうあるはずも無く、あんなにも美しかったその顔はもうその美しさを取り戻す事は無い。

「アハッ・・・ハハ、アハハハハハハ!」

ザエルアポロは狂った様に笑いだした。
こうでもしなければどうにかなってしまう。静かで物音一つしないこの部屋で、実の兄の死体を目の前にして、正気を保っている事なんて出来るわけが無い。
その静寂を壊すような笑い声は兄の体液のごとく乾ききり、もう涙などは出てこない。
出てくるのは乾いた笑い声と名を呼ぶ声だけだ。
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