自作小説
□天国に逝くため……0
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僕は……世界の醜さを…いつからか、感じ始めた。
「なんだよ…これ……なんなんだよ……。ありえない……なんで、なんで……」
体内から赤い血が溢れ、流れ出る。
身体は安息を求め、冷たくなっていくけれど、それを認める訳にはいかない……。
頭上で高らかに笑う、血塗れた男。
今、まさに今さっき、僕を襲った狂気。
「なんで…僕が、死なないと……いけないんだよぉ……!」
痛みがじわじわと意識を刈り取っていき、意識が刈り取られていく度に生命の灯火が小さくなるのがわかる。
生命の灯火が小さくなる度に、“生きたい”と、自身の生への執着心が膨らんでいく……。
でも……。
でも――……。
全部、無駄だった……。
頭上で高らかに笑う狂気に塗れた狂った存在。
〈悪魔〉の支配者にて、〈悪魔〉の創世者。
そして、僕が、仕えるべき……主君。
「……ああ――……。美しいなぁ……死の、死者の……世界は……」
さあ、つまらぬ生など捨て去ろう。
「……さあ、なんなりとお申し付け下さい。我が、我等が主君よ」
目覚めた野心は止まらない、止まる事など知る由もない。
だがそれも良い。僕が望む、僕の野心は成就させてみせる。
さあ、創ろう。
さあ、見てみよう。
さあ……■■の国を……!!
目覚めた野心。
すべてはここから、ここから始まった。
そして時は流れ、野心は次第に膨らみ力を付ける。
そして、数十年後のある朝……。
一人の少年が自殺した……。
天国に逝くため……。開幕……。