修一

□愛する人に感謝を
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今日は私達の記念日デート。


とは言っても、記念日は先週とすでに終わっていたので
これは言わば穴埋めデートだった。



最近忙しくて、どうにも当日時間が取れなかった修ちゃんが、
今日はどこでも**の好きなところに行こう。と言ってくれて、


私は修ちゃんと一緒に、ショッピングモールへと買い物に来ていた。










《愛する人に感謝を》









普段こうゆうところへは、裕次お兄ちゃんと来ていたから、
修ちゃんと一緒と言うのがとても新鮮。



でも、女の子の中にいるのに慣れている裕次お兄ちゃんと違って、
女生徒と学校で話していても、ずっと剣道をしてきた修ちゃんは基本硬派なのか、
どこか居心地悪そうだった。




「ねー、修ちゃん…。
こっちと……、さっき着てたワンピース、どっちがいいかなぁ…??」


「あ…あぁ……。どっちも似合ってたけど……。」


「ありがとう。じゃあ、修ちゃんの好みはどっちだった〜??」


「えっと……。薄いピンクの方かな……??」


「じゃあそっちにするーっ!」


「………あぁ…///」




実際、男性は店内でも修ちゃんだけで、
さっきからの会話も正直ぎこちない…。



その上、長身な男の人らしいスタイルと顔立ちは目立って
時折、社会人だろう大人な女性にもカッコイイだの優しそうだのヒソヒソ言われたりしてた。



普段自分の噂話には鈍感な修ちゃんも、
この限られた店のスペースと、少なくとも学校より静かな空間では
内容も聞こえてくるのか、視線を落として頬を染めたりしてる。




おぉ…!貴重な映像〜…☆




普段こうゆう状況でも落ち着いている修ちゃんを知っているからか、
他者の言葉に反応している光景は滅多に見れない。



しばらく眺めていたい気もしたけれど、
さすがに可哀相になって
私は試着室で、手早く着てきた服に着替えた。














着替え終わったら、すでに会計が済まされていた。


紙袋をもった修ちゃんはレジを打っていただろう店員さんに掴まっていて、



「自分の好みの服をやっぱり彼女さんに着てもらいたいタイプなんですか〜??」


という問いに、修ちゃんが赤い顔して答えに困っている。



異性にそこまで興味もってもらえたら、
普通の男の子はデレ…ってなっちゃうだろうに。



現れているのは、自分が場違いなところに来たという
ちょっとした焦りだけな感じに、


修ちゃんだなぁ…。


なんて思っちゃう。





現に店員さんとの話が途切れた頃合で、


「おまたせ…修ちゃ…」


と声を掛けて近づくと、
まだ言い終わらぬうちに、珍しく人目のあるところでその逞しい腕が私の肩に回り、
促されるままに私は店の扉を出たのだった…。
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