雅弥
□雅弥くんのクリスマス
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「ねぇ、裕次お兄ちゃんたちは毎年クリスマスってどんな風に過ごしてきたの??」
「ん??急にどうしたの〜??」
「そういえば私、みんなとクリスマス一緒に過ごすの初めてだったんだな〜…って思って。」
食後の後のティータイム。
今までのみんなの思い出が気になって聞いた私に、裕次お兄ちゃんは少しキョトンとしたあと、
面白いことを思い出したように、二マリと笑った。
《雅弥くんのクリスマス》
「とある人物がすごいエピソード作ってたりするから、結構昔からクリスマスはいろいろあったよ〜??」
「とある人物…??」
「そう!クリスマスは本当にいろいろあったな〜☆」
「………“とある人物”って、もしかして俺の事言ってんのか…??」
「あ、自分で気付いたか〜♪おりこうさんっ!」
「言ったら怒るぞ、バカ兄貴…///」
「おや…。今回はいままでのように叫んだりしないんですね…??」
今までのこの手の思い出話には、当時の恥ずかしさも甦るのか、過剰な反応を見せて来た雅弥くんの行動を振り返ってか、
修一お兄ちゃんは意外そうに笑った。
「いつまでも裕兄に弱み握られてたまるか…。
それに、俺ももう大人だしな。」
少し無理しているようにも見えなくはないけれど、
雅弥くんは慌てもせず、そのまま食堂を去ろうとした。
「じゃあ本人の了承も得たところで、西園寺家のクリスマスの事件簿行ってみようか〜♪」
「まず恒例はサンタへの手紙だよね…。」
「雅季っ!お前…っ!///」
「大人になったんでしょ??」
「そうだよね〜♪雅弥ももう大人だし、10歳までサンタさんに手紙を書いてたことなんてもう過去だよね〜っ☆」
「だぁぁぁぁぁ!!!そこから蒸し返すのかよっ!!!」
「過去なんだろ〜??」
真っ赤な顔をして威嚇をする雅弥くんと、
面白そうな顔でさらっと流す裕次お兄ちゃん。
この場合、どちらが有利なのかは一目瞭然で…。
それでもそんな家族の思い出話が聞きたくて、私は話に便乗した。
「いいじゃん♪過去だよ、雅弥くんっ!」
「**…。お前、人ごとだと思って……。」
「そうだよ〜♪
デパートのサンタさんを見て、本物だって感動して、そのままその従業員サンタさんの後を家までつけていったとか、
クリスマス当日、枕もとのプレゼントを見て、
“サンタさんがもしかしたらまだ近くにいるかもしれないんだっ!”って、パジャマのまま外に出てってロンドン市警に捕獲されたとか、
引き取りに行ったら、保護してくれてた警察官にサンタの事を熱弁してた事なんて、過去だよ、過去っ♪」
「おぉ!裕次お兄ちゃん一息に見事っ!」
「確かにいきなり朝いなくなってて、そのまま警察から連絡受けたときは焦りました…。」
「誘拐されたんじゃないかって、家の中すごかったよね……。」
当時を思い返してため息をつく修一お兄ちゃんと雅季くん。
裕次お兄ちゃんはどこか楽しそうに、
「お兄様って呼んでくれたら、辞めてもいいよ〜♪」
と、ちょっと期待しているようなその口調。
裕次お兄ちゃん、何かに憧れてるんだね……。
お兄ちゃんのその様子を見抜いてか、雅弥くんは盛大に恥ずかしそうにしながらも反発した。
「死んでも言うかよ、んなことっ!」
「そっか〜♪じゃあ、その夜のパーティーで特注のツリーによじ登っていって、そのままツリーと一緒にケーキに倒れたこと」
「うわぁぁぁぁっ//////おにーさまこのやろぉーっ//////」
「あ、言ったね。」
「うん、言った…。」
「まぁ、この場合どちらをとっても…。」
まだ何か言い争ってる2人をよそに、
私たちは冷めかけた紅茶を啜ったのだった。
「今年も、にぎやかなクリスマスになりそうですね…。」
と笑った修一お兄ちゃんの声を聞きながら。
Merry Christmas!
【fin.】
08’12.24 KAHIME.