御堂要
□待ってるからね…。
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「そろそろお昼にしましょうか、御堂さん。」
久しぶりに戻ってきた日本。
ショッピングモールで買い物をしていた私は
隣を歩く御堂さんを見上げて言った。
《待ってるからね…。》
ロンドンでは、言葉が通じないこともあって
自分が思ったような買い物が出来ずに終った。
でも、おめでたいお正月のこのムードでは
何か買いに出たくなるのが乙女のサガでしょう。
やっぱ福袋とかバーゲンとかって燃えるじゃないっ!!!
お兄ちゃん達は、何で人が多いこの時期に
わざわざ買い物に出るのか分からないって顔してたけど…。
いいの!私は由緒正しき庶民なの!
ここらで冬服買い込んで、来年に向けて服を揃えるのよ〜!!!
家を出る前のことを思い出して、めらめら燃え始めた私に
御堂さんは少し笑いを零した。
「旦那様がよく足を運ばれるレストランが近くにございますよ??
もしよろしければ、そちらの手配とお車のご用意を致しますが…。」
人が多い事も手伝って、
結局御堂さんが心配してついてきてくれたのだった。
「ダメです、そんな贅沢っ!
買い物たくさんするんだもん。食費は抑えなきゃ☆」
「は……、お嬢様…??」
「それに、私入りたかったカフェがあるんですっ♪
今日のお昼はそこにしましょ。」
「いえ…、ですが…」
「御堂さん食べれないものってありますか〜??」
「私は特に偏食はありませんが…」
「じゃあ行きましょ!
美味しいパスタが待ってますよ〜っ♪」
目指すご飯に
るんたったと歩を進めたちょうどその時…。
ひとりの子供が泣いて歩いてくるのが見えた。
私と御堂さんは顔を見合わせて…、
とりあえずその子供の方へと足を運んだ。
「どうしたんだい??」
そう言って男の子に視線を合わせて膝をつく御堂さん。
「お父さんとお母さんが…いない……。」
その子はまだ3歳前後くらいの男の子で、
必死で泣き叫びたいのを我慢しているかの表情だった。
周りは知らない、人・人・人…っ!
その小さな足で、歩いても歩いても誰にも会えなかったら…
それはなんてゆーか、ひたすら泣きたくなるかもしれない…。
そんな男の子の頭を御堂さんはワシャワシャと撫で、
「大丈夫、みんな見つけてやるからな、
それまで頑張ろうな??」
と言って、優しく笑った。