御堂要

□待ってるからね…。
1ページ/2ページ

「そろそろお昼にしましょうか、御堂さん。」


久しぶりに戻ってきた日本。


ショッピングモールで買い物をしていた私は
隣を歩く御堂さんを見上げて言った。









《待ってるからね…。》










ロンドンでは、言葉が通じないこともあって
自分が思ったような買い物が出来ずに終った。


でも、おめでたいお正月のこのムードでは
何か買いに出たくなるのが乙女のサガでしょう。


やっぱ福袋とかバーゲンとかって燃えるじゃないっ!!!



お兄ちゃん達は、何で人が多いこの時期に
わざわざ買い物に出るのか分からないって顔してたけど…。


いいの!私は由緒正しき庶民なの!
ここらで冬服買い込んで、来年に向けて服を揃えるのよ〜!!!




家を出る前のことを思い出して、めらめら燃え始めた私に
御堂さんは少し笑いを零した。


「旦那様がよく足を運ばれるレストランが近くにございますよ??
もしよろしければ、そちらの手配とお車のご用意を致しますが…。」


人が多い事も手伝って、
結局御堂さんが心配してついてきてくれたのだった。



「ダメです、そんな贅沢っ!
買い物たくさんするんだもん。食費は抑えなきゃ☆」


「は……、お嬢様…??」


「それに、私入りたかったカフェがあるんですっ♪
今日のお昼はそこにしましょ。」


「いえ…、ですが…」


「御堂さん食べれないものってありますか〜??」


「私は特に偏食はありませんが…」


「じゃあ行きましょ!
美味しいパスタが待ってますよ〜っ♪」



目指すご飯に
るんたったと歩を進めたちょうどその時…。


ひとりの子供が泣いて歩いてくるのが見えた。




私と御堂さんは顔を見合わせて…、
とりあえずその子供の方へと足を運んだ。





「どうしたんだい??」


そう言って男の子に視線を合わせて膝をつく御堂さん。


「お父さんとお母さんが…いない……。」



その子はまだ3歳前後くらいの男の子で、
必死で泣き叫びたいのを我慢しているかの表情だった。


周りは知らない、人・人・人…っ!



その小さな足で、歩いても歩いても誰にも会えなかったら…


それはなんてゆーか、ひたすら泣きたくなるかもしれない…。




そんな男の子の頭を御堂さんはワシャワシャと撫で、


「大丈夫、みんな見つけてやるからな、
それまで頑張ろうな??」


と言って、優しく笑った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ