松田 隆実:第1章
□一緒にいたい 〜おまけ〜
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【おまけ】
「なぁなぁ♪せやかてどんなんやったんかて聞いてるんやんかっ♪」
「しつこいやっちゃな〜…。もぉええやろ。」
「そんなんゆうたって、俺、ベッドの中の**ちゃんなんて知らんも〜んっ♪」
「ア、アホ!!!
そんなんお前が知っとってたまるかいっ////」
俺やてまだ知らへんことを、なんでお前が知っとるねんっ!!!
あれから慎は、しつこいくらいに昨日のこと聞いてきよる…。
ホンマになんかあったんやて思い込んどる慎に、
今更本当のことなんて言えんくなっとって、俺はテキトーに交わしとった。
「なんでー…な。
ちぃとばかり教えてくれたってえぇやんか〜…。」
その内、慎も拗ね始めて、
諦めたか…、と思うたちょぉどその頃。
「あっ!**ちゃんやっ!!!」
いきなり慎が声を弾ませよった。
見れば、今俺らが歩いとる廊下の突き当たりの通りに、**ちゃんが歩いとるのが見える。
ブンブン手を振って呼ぶ慎の声にビビッて、**ちゃんも足を止めとった。
「こぉなったら、本人に直撃インタビューやで〜っ!」
な、なんやてっ???!!!
慎はそないゆうて、すでに走りだしとる。
ア、アカンッ!!!
それだけは、何としても阻止せなあかんでっ!!!
「ちょー、慎待てやっ!!!」
俺も慌ててその後を追った。
「慎之介さん。こんにちは!収録ですか??」
何も知らん**ちゃんは、ほがらか〜に答えとった。
「せや!てゆうても、今終ったとこやけどな♪」
「あ、お疲れさまです☆
じゃあ、もう帰られますか??」
「せや♪その前に**ちゃんに聞いてもえぇ??」
「はい??」
「昨日の夜ふぐ…っ!」
話題を振りだした慎の口を横から手でバンと塞いで、俺はそのまま慎の頭を抱え込むように思いっきり締めあげた。
「…松田さん??」
不思議そうに小首をかしげて言う**ちゃんにテキトーに挨拶して、
俺は5歩6歩、慎をズリズリと引きずった。
手だけを開放したあと、
慎の頭を自分の方に近づけて、**ちゃんに聞こえんよぉに俺は小声で叫んだ。
“ア、アホ…!!!
なに言いよるねんっ!”
“プッハー……!!!
そりゃこっちの台詞や!いきなし何すんねや隆やんっ!”
芸人の掛け合いの特性なんか、小声で言うと慎も合わせて小声で返しよる。
“隆やんがなんも話てくれへんから、ちょっと**ちゃんに聞くだけやんか!”
“だぁー…っっっ!!!
何もあらへんて、1番最初に話したやろっ??!!”
“え……??ほなあれ、ホンマやったんか…??
でも泊まったんは間違えないんやろ…??”
“そ・ぉ・や!
昨日**ちゃんは俺んち泊まったし、一緒の布団で寝たけども、何もしてへんねやっ!”
納得させるよぉにそう言うたのに、慎は逆に興奮しとった。
“なんでやっ!!愛し合う2人が、なんでそれでなんもないねん!
隆やん紳士すぎんのも度をこしとるでっ?!
俺がちゃんと**ちゃんに話したる!”
“だぁぁぁぁぁ!!!余計な事すんねやっ!!!
そんなことゆうて変に意識してもうて、この先出来ひんかったらどないすんねんっ!!!”
“ほぉら、見てみ!隆やんもやっぱ**ちゃんとそないな事したいんやないか〜♪
ここは俺に任しときっ!大好きな相方のために一肌脱ぐでぇ〜☆”
“俺のこと思うんやったら、ほっといてくれ!!!”
押さえ込まれとるのに、器用に腕まくりしながら意気込む慎と、
頭抱えたなること言う慎を抑えとる俺。
**ちゃんは、おふたりって、本当に仲がいいですよね〜♪と朗らかに言うとった。
いや、俺結構必死やで…??
【おわり】
08'11.29 KAHIME.