帰省シリーズ
□瞬のお手伝い
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「ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。
長男の 修一です。」
「次男の 裕次です。」
「三男の 雅季です。」
「『おバカな』雅弥です…。
って、バカ兄貴ーッ!!!
なに人の言葉にタイミングよく被せやがるっ!
しかも“おバカ”って何だよっ!!!」
「ホントのことじゃんっ☆」
「俺が、いつ、どこで、何したってんだよっ!」
「雅弥が、中学の時、キッチンで…」
「うわぁぁあぁあっ////
てか、んな前のことを蒸し返すなーっ!!!」
熱戦して揉める2人は完全に余所で、
瞬くんと御堂さんが挨拶をして、
私たちは朗らかにちゃぶ台を囲んだのだった…。
〜瞬のお手伝い〜
和室の机をみんなで囲む。
急に増えた孫に、おばあちゃんは本当に嬉しそうだった。
それに、畳にそのまま座るみんなを見るのも、なんだか新鮮で…。
武道や華道の習性なのか、正座をする修一お兄ちゃんと、御堂さん。
足を組んで伸ばす、雅季くん。
ひざを立てて胡坐をかく、雅弥くん。
ちょこんと座る、瞬くん。
性格がそのまま出るような座り方に、
ひとりこっそり笑ってみた。
「お茶でもいれようかね。」
そう言って、立ち上がろうとしたおばあちゃんに
珍しく瞬くんがそれを制した。
「あ、おばあちゃん、…僕入れるよ///」
「嬉しいね…。じゃあ、お願いしようかね。
お茶の葉っぱは、向こうの戸棚〜。」
「うん。」
あまり自発的に動くことのない瞬くんだったから、驚いたけど…
襖から出て行った瞬くんは、
どこか嬉しそうな顔をしていた。
それからしばらく、他愛もない話をしていたけれど、
途中から、カチ…ッ カチ…ッと言う連続的な音が聞こえだした。
一同が何気なく襖から覗き見ると、
コンロの前でスイッチを押す瞬くんの姿。
スイッチを押して、
置いたヤカンとコンロの間を覗き見ては首をかしげている。
「……瞬、
普通ガスには、元栓と言うものがあるんですよ…??」
「もとせん??」
「ガスを一括して止める栓のことだよ。
理科の実験とかでもあるでしょ??」
「…そんなんあったか…??」
「……。」
首をかしげる瞬くんに、
不思議そうな顔をする雅弥くん。
とりあえず、御堂さんが立ち上がったのは、それからすぐのことだった。
【続く】
08'10.24 KAHIME.