帰省シリーズ

□雅弥の危機
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「マサヤー!
一緒にお風呂入らないっ??」


「………はっ??」





兄弟そろって帰省してきた翌日の夕方。


遊びに来た親戚の子供と一緒に、
夕食は食べに行くかという話が出ていたその空間は
**の発した突拍子もない言葉で、物の見事に凍りついた。










〜雅弥の危機〜











「いいじゃない、お風呂くらい…。
普段めったに一緒に入れないんだから…。」


予期せぬ**の台詞に、
俺の脳は完全にフリーズした。



遊びに来た親戚の子供とテレビを見ていた瞬と雅季は、
後ろ手を突いて、こっちの様子を伺ってくる。


この2人は特に問題はねーけど…、


動作はそのまま、
飲んでいた湯飲み越しに
視線だけを、静かに俺に投げかけてくる修兄と、


ばあちゃんが咲かる話を聞いたまま固まっているバカ兄貴。



その表情は俺の立っている位置からは見えねーけど、
ジトっとした、言いようのない視線を感じる。








俺達が付き合うようになって、2週間。


修兄とバカ兄貴はどこか監視員のようだった。




……てか姑みたいな空気出すなよ…。





そんなこの状態に気がつきもせず、
**は容赦なしに言葉を続ける。



「だめ…??」


「いや、お前…」


「…たかだかお風呂でしょ??」



おわ…っ、どっかから殺気が飛んできた…。
正直怖くて、振り返れたもんじゃねぇ…。









「こんな時しか出来ないじゃんっ☆」


「ていうか」


「背中洗ってあげたりしたいじゃんっ!」


「そもそも俺達は!」


「小さいときしか出来ないでしょーっ??!!」


「まだキスしかしちゃいねぇーっ!!!
……って、はっ??」


「バカっ/////
私が言ってるのは、マサヤとお風呂っ!
中学年に上がったら、さすがに入れないでしょ??」


「おにいちゃん…、どうしたの…??」


ヒートアップした**の勢いと、
俺の足元に来る親戚の……


「あー…、なんだ…、こっちか…。」






昼ごろ遊びに来た、親戚の小学生。


公園で一緒に野球をやった時は、
「野球少年」だの、「ぼーず」だの言っていたから忘れてたけど、
こいつの名前も、マサヤだった。



俺とのことじゃないとわかって、
息を吹き返したように時間の流れ出す空間。


あれだけプレッシャーかけといて それかよ…。





「…てか、まどろっこしくねぇ??」


「え??なんで…??
“マサヤと…、雅弥くん”」


「“おにいちゃん”」


「俺だけかよ…。」











うっかり発した“まだ”という言葉が引っかかったのか、
それから家に帰ってあと。


至るところで目を光らせてくる修兄とバカ兄貴のおかげで、
ようやく2人だけで出かけられたのは
それから1ヵ月後のことだった。









【次回番外編へ】

08'11.02   KAHIME.


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