帰省シリーズ
□番外編
1ページ/1ページ
「ねー、裕次お兄ちゃん…。
雅弥くんには悪いとは思いつつ…☆
こないだの“雅弥の中学生の時の話”って、なーにっ??」
「よくぞ聞いてくれましたっ!
お兄ちゃんが話してあげようっ♪」
「うわーッ//////
やめろっつてんだろーッ//////」
「ふーんだ!
雅弥なんか、俺達の可愛い・可愛い〜**ちゃん独り占めしたくせにっ!」
「それとこれとは関係ねーだろっ!
そそそれに、あれだ…///
お、俺と**は、…そ、相乗効果だ…。」
「それ、絶対“相思相愛”の間違いだと思う。」
「雅季…、お前いちいち…。」
「それじゃー、中学生雅弥くんの始まり始まりーっ♪」
「だぁーっ!!!!始めんなーっ//////」
〜番外編〜
「ある日〜、学校からお腹を空かせて帰ってきた雅弥くんは〜、何か食べるものを探していました〜♪
…あっ!!!雅弥がお腹空かせてそうな顔してたら、同じ部屋にいたらダメだからね!**ちゃんっ!!!」
「……え??だってお腹すいてるんでしょう…??
なんか食べさせてあげなきゃ…」
「だぁー!!!もうっ!絶対だめっ!
その時はすぐにお兄ちゃんを呼びなさいっ!」
「…コックさんでなくて…??」
「はぁ〜…☆
**ちゃん…、お兄ちゃん嬉しい…☆」
「は…??腹減りゃー、普通キッチンだろ…??」
「雅弥…。お前が子供で、お兄ちゃん嬉しい…っ☆」
「……なんかよく分からねーけど、小馬鹿にされてることはわかってんぞ…。」
「んっふっふー…!」
「裕次兄さん、ホントに根に持ってるよね…。」
「まぁ、妹になるのを心待ちにしていた節もありますからね…。」
「さてさて、そんな時、雅弥くんは冷蔵庫で前日買っていたプリンを見つけました〜♪
その時雅弥くんは、考えました。
どうせ食べるなら、焼きプリンがいいと…っ☆」
「もういいだろーっ///」
「あぁ…。」
「ハイハイ…。」
雅季くんと修一お兄ちゃんは、
過去を懐かしむというよりも
その先にある思い出にため息をつくかのような反応だった。
「“そうだ!焼けばいいじゃないか!”」
「え…??あれ、蒸さなきゃだめでしょう…??」
「ねぇ??小学生でも別物って分かるよね〜…。」
「……悪かったな…。」
「しかも、入れたのトースターだよ〜??」
「トースターにそのまま入れたのっ?!」
「見事に容器が溶解したよね…。」
「火災報知機が鳴り響いて、スプリンクラーが作動して大変でした…。」
「何事かとみんなでキッチンに走ったら、
水浸しの雅弥がボーゼンと立っててさ。
何が起こったのか全く自分で気付いてないんだもん。」
「そのまま消防車も来たしね…。」
「雅季だって、間近で初めて見たって言ってたじゃねーか…///」
「…家に向かって放水準備されるまではね…。」
「あの要くんが“おおおお待ちくださいーっ!!!”って、血相変えて燕尾服なびかせながら
消防車に向かって走って行きましたからね…。」
「…なんて言うか、大物になるよね…。」
なんだか、そんな思い出がまだまだ出てきそうで、
自分が雅弥くんと家庭を持ったとき、
その家族はどんな家になるのだろう…と、
まだまだ先の未来に想像を馳せてみるのだった。
とりあえず、お父さんたちとお兄ちゃんたちは
大変だっただろうな、と思うのでした。
――――――――――――
「…ったく…、ほっとけ…。
もういいだろ?ほら、**、部屋帰るぞ。」
「どこにです…??」
それまで一緒に笑っていた修一お兄ちゃんの声が
一気に低くなって、
なぜか私まで薄ら寒くなった。
弁解をする雅弥くんの隣で、
意味も分からず、
それでもなぜか謝罪をしてしまう私だったのだった…。
【おしまい】
08'11.03 KAHIME.