松田 隆実:第2章
□素肌見せるんは、俺だけにしてや…。
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「夏ですねぇ〜…。」
「せやなぁ…。」
隆実さんと一緒に過ごす、初めての夏。
今まであまり見てこなかった、半そでのポロシャツ姿の隆実さん。
その袖から伸びる、すらっとした腕はモデルさんのように長いのに、程よく筋肉で均整がとれている。
夏の服装は、普段の穏やかな隆実さんを男の人だと妙に意識させた…。
《素肌見せるんは、俺だけにしてや…。》
「そういえば、今度仕事で水着着るんです。」
慎之介さんの進めもあって、近況報告のつもりで出した話題だった。
隆実さんは、それまでの朗らかな表情から少し神妙な顔つきになったかと思うと、
それからしばらく言葉を発しなかった。
隆実さんの長い指に挟まれた煙草が、細い煙を燻らせる…。
普段の穏やかな隆実さんとは違う雰囲気に、私の心臓がドキンと大きな脈を打つ…。
私、どうかしてる…。
「それって、グラビアか……??」
「………ハイ??」
ようやく紡がれた低い声は予想外の内容で、思わず間の抜けた声が出た。
「え〜っと………グラビア……とは違うんじゃないかなぁ……??CMなんです。
山田さんも私の好きにしたらいいって、まだ契約はしてないんですけど…。」
渡された資料を思い出すように、たどたどしくも説明するも
隆実さんは言葉を挟まなかった。