雅季

□言葉をください
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「……どうしたの??」


「えっ?!」


「…もしかして、僕に聞きたいことがあるんじゃない?」


「な、なんでっ??」


「部屋に来てから、なんかソワソワしてる。」


「え…あ……ぅ…。」








昼食も済み、
窓から心地よい日差しが入ってくる休日。


これと言って用事もないのに、
部屋に来てからずっと、どこかタイミングを伺っている…。


他愛のない話が尽きても、自分の部屋に戻る気配はなくて…


待ってみても話が切り出されることがなかったので、
こうして本を読んで待ってみたのだけど。



それでも一向に切り出す気配もなく、
結局僕から話を振ってみた。










「えっ………とぉ……。」


「うん。」


「あー…、いや、……うん。」


「…ひとりで納得されても分からないんだけど。」


「で、ですよ、ね…。」



出だしに辿り着いたと思ったら、この調子。
僕としては、何にそんなに躊躇しているのか分からないんだけど…。



「なに…??もしかして僕には言えないこと?」


「ううんっ!そんなことは決してっ!」


「じゃあ、どんなこと??」


「…う〜……。」


埒が明かないこの状態に、
仕方なく先に退路を切って、話の内容を促した。




「…怒らない……??」


やがて、下から伺うように聞いてくるその目線に、


「怒るようなことなの??」


と返す。


すると、


「や、怒るかどうかは分からないんだけど…、でもなんか、なんていうか…。」


と、しばらくひとりでゴニョゴニョ話したあと、
意を決したように口にした。
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