雅季
□ひとつ屋根の下
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退院して恋人同士になったばかりの2人をどうぞ♪
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「どっか行きたいな〜…。」
手持ち無沙汰だった土曜日。
部屋でごろごろするよりはと、書斎に本を探しに来た私が何とはなしに口に出していた言葉。
ちょうどその時その場にいたのはソファーで本を読んでた雅季くんのみ。
他に相槌を打つ相手が自分しかいなかったと言うのもあってか、自分に向けられた言葉と思ったらしい彼は
思い出したようにひとつの提案をしてくれた。
《ひとつ屋根の下》
「明日映画見に行くんだけど、**も一緒に行く…??」
「……え??」
まさか返事が返ってくるとは思ってなくて、気になった本に手をかけたまま一瞬の間があいて振り向けば、ソフ
ァーに座って書物を手にこちらを見ている雅季くん。
「だから、映画。どこか行きたいんでしょ??」
「あぁ…、はい…。行きたいデス…。」
なぜか片言な私の返しに、雅季くんは読んでた本をパタンと閉じてソファーから立ち上がった。
「じゃあ明日1時に玄関ホールね。開演2時半だから遅れないように。おやすみ。」
「あぁ、おやすみなさい…。」
ぱたん…。
ぎょ、業務連絡…??
何もそんな部屋まで出て行かんでも…。
せっかくのデートなのに、約束とも呼べないようなお誘い。
家族の目もある家では、なかなか病院のようには甘くはいれない…。
雅季くんにとっては映画見に、一緒に出かけるだけっていう感覚なのかな…。
初めてのデートはいつになるんだろうって…、すごく楽しみにしてたんだけどなぁ…。