帰省シリーズ

□雅季くんの童謡
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「ある〜ひっ♪もりのっなーか。
くまさーんにっ。であ〜った♪」


「……なに、その歌??」


「はなさーく〜…♪
…って、えぇっ??雅季くん、“森のくまさん”知らないのっ??」





私の子供のころのアルバムが見たいと裕次お兄ちゃんが言い出して、
雅季くんと3人で見だした時、


音楽会の写真のページを見て
懐かしさのあまり歌い出した私に、


雅季くんが、少しいぶかしげに隣から言葉を挟んだ…。











〜雅季の童謡〜












「幼稚園のときに習わなかった??
結構有名なアメリカ民謡のはずだけど…。」


「……幼稚舎で…??」


「あぁ…、そう…。幼稚舎で…。」


「お兄ちゃんもその歌はじめて聴いたよ??」


「え〜…??
じゃあ、幼稚園でなに習ったの〜っ??」


「え〜…と…。
歌だと英語のアルファベットの歌とか〜、
曜日の歌とかかなぁ…??」


「…英才教育ってやつですか…。」


「あ、あとは、体の部位を表す歌とか??」


「え??どんなの??」


「ヘッド〜♪ショルダーズ、ニーズ&トーズ、ニーズ&トーズ〜♪ってやつ☆
知ってる??」


「知ってるっ!!
それって、自分の頭・肩・ひざ・つま先・ひざ・つま先〜♪ってタッチしていくやつでしょっ??
“大きな栗の〜、木の下で〜♪”みたいな☆」


「栗の木の下…??
それって、イガが落ちてきて危ないんじゃ…。」


「いや…。そこ突っ込んじゃ〜、ダメでしょう…。」








その後、裕次お兄ちゃんから一通りお兄ちゃんたちの幼稚園でのカリキュラムなんかの説明を受けた。



「へぇ〜☆幼稚園でそんな英語まで覚えるんだ〜♪」


「まぁ、覚えるといっても、遊びでだけどね。」


「でも、やっぱり普通の幼稚園とは違うよ〜。」


「そう??」


「あ、ねぇ☆
雅季くんも、そのジェスチャー付きの歌、歌ってたの??」


「……まぁ…。」


「え〜っ!見たい見たいっ!!!
やってみてっ☆」


「………今この年で、やると思う??」


「………ですよね〜…。」





「でも、**ちゃんがさっき歌ってた歌の方が、お兄ちゃん気になるな〜♪」


「森のくまさんはねぇ、輪唱も出来るんだよ〜。」


「へぇ〜。
じゃあお兄ちゃん覚えるから、歌ってみて〜☆」


「らじゃー!」









5つの展開を歌い上げると、
裕次お兄ちゃんは楽しそうにメロディーを口ずさみ始めた。


一方、雅季くんは、どこか不思議な顔。



「ちゃんと歌の歌詞が、物語のストーリーで繋がってるんだよ☆
面白いでしょ??」


「まぁ…、それは面白いとは思うけど…。」


「……けど??」


「“森が危険だ、逃げろ”って言われて逃げたのに、
落し物届けられたお礼に、踊ってる時間なんてあるの…??」


「えっと……。
もう森、抜けたんでない……??」



さっきに続いて設定に指摘する雅季くんに、
私は無難な言葉を返したのだった…。









【続く】

08'10.25   KAHIME.


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