帰省シリーズ

□キミのために…
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「決まりそう??」


「えー…っと…。
 これか…、……これ…。」


「こうゆうのが彼女さんのイメージ??」


「あいつの趣味って言うか…喜びそうって言えば…こっち、か…??」


「じゃあもうひとつのコレは??」


「そっちは……なんか、あいつの思い浮かべたらこれになってたってゆーか……なんだ…その……/////」



店員に告げると、
あら…♪なんつって、俺の顔を見た。




おわ…////
俺どんだけ恥ずかしーやつなんだよ…/////





「もしかして、こうゆうプレゼントするのは初めてかしら??」


「あー…まぁ……////」


「じゃあサイズとか分かる??」



サイズ…そういや聞いたことねーな…。



「………俺の小指くらいか…??」


そういうと、その店員はふはっと笑った。




「ごめんなさい。でも微笑ましくって…☆」



笑いながら言うその店員に、羞恥が出るやら気まずいのやら…。
とりあえず、向こうが告げる次の言葉を待った。



「でも、羨ましいわ♪
これだけ自分のことを思いながら選んでくれるなんて…。
その彼女さんは本当に幸せ者ね。」


「はぁ……どーも……。」


この場面で、他にどう答えりゃいーかわらんなくて、
曖昧な返事をする俺に、
店員はこう提案した。



「じゃあ、今度彼女さん連れてくるって言うのはどう??」


「**を…??」


「そう、**さん。
サイズって言っても、実際してみる合わないって時もあるし、
はめてみたら、イメージつくかもでしょ??」


「あぁ…。じゃーそうします…。」


「ええっ♪楽しみにしてるわっ☆」





結局その日は買いもせずに、
俺は手ぶらでその店を出た。












「雅弥くん〜!どこ行くの〜っ??」


「……いいから着いてこいよ…。」



雅弥くんと付き合い出して、1ヶ月半。


ようやく2人だけで外に出してもらえて、
こうして雅弥くんとモール街を歩いた。


でも行き先を聞いても雅弥くんは答えてくれなくて、
着けば分かる。の言葉通り、私はただ雅弥くんの後についていった。











「え…??ここ…??」


店の中に入って、思わずぽかーんと立ち止まった私とは別に、
雅弥くんは店の奥に入っていき1人の店員さんに話しかけていた。


雅弥くんを見てどこか気さくに話していた女性は、
私を指差した雅弥くんごしに身を乗り出して、私を見ると知っている人を見つけたかのように、明るく微笑んだ。









「いらっしゃいませ。
 あなたが**さんね??」


「あ……はい…。
 え、てかなんで…。」


いきなり名前を呼ばれて、思わずあたふたする私をよそに、
雅弥くんは、俺向こう行ってるから、好きなの選べよ。と言って、歩いていった。


そんな雅弥くんの後ろ姿を店員さんと眺めたあと、
不意に目線が合った。



その女性は、雅弥くんが先週来たことを教えてくれた。



「ずっと、あー…うー…って小さく唸りながら、誰かさんを思い浮かべて選んでたわよ。」


「それは…なんていうか……
 見てたかったです…☆」


「ええ、ぜひ見てもらいたかった♪」


優しく言うお姉さんに進められて、数点の指輪をはめてみる。
いろいろ見ながら、お姉さんは雅弥くんの様子を話してくれた。



「彼はああ言ってたけど…☆
 本当は2つに絞ってたの♪」


「え…??どれとどれですか??」


聞き返すと店員さんはショーケースの中から2つの指輪を出してくれた。



「あなたが好きそうなのはこっちだろうって。」


そう言って可愛いストーンの付いた指輪を嵌めてくれた。


「あ、うん☆好きかも…!」


「ホント、あなたの事よく見てるのね♪」


嬉しくて、思わず指輪を上でかざしてみる。


「とてもお似合いですよ。」


「あ、じゃあ、こっちにしようかな…///
そういえば、ちなみにもう1つのこれは…??」


そう聞くと、彼女はあったかく微笑んだ。





「“なにか一緒につけて欲しいってゆーか…。俺のピアスもクロスだから…。” だ、そうよ??」






思わず雅弥くんがいるほうを見た。
そんなことを思ってくれたことが嬉しくて、しばらくそのまま動かないでいると


「どちらにしようかしら??」


と声をかけてくれた。















日が落ちるのが早くなった帰り道。


雅弥くんと手を繋いで歩いた。


繋いだ私の薬指には、さっきまでなかった指輪。






雅弥くんが私のことを考えて選んでくれた事があまりにも嬉しくて、
緩んだ顔でえへへと雅弥くんを見つめると、
そのまま優しく微笑み返して、つなぐ手にギュっと力を入れてくれる。



「ごめんな??
俺サッカーしてるから一緒にできねーけど…。」


「ううん!選んでくれてただけで、すっごく嬉しいよっ!
ホントにありがとうっ!!!」


「そうか…///??」


「うんっ!それに、一緒なもの付けてれるしねっ♪」


買ってもらったクロスの指輪を繋いだ雅弥くんの手ごと掲げて、
思わず二人で笑う。




まだまだ恋人になって日は浅いけど、
この先もこうやって2人で歩いていくんだろう。











そして、それから数年後。

2人はお揃いのシンプルなプラチナリング買いに、
このお店に行くのでした。















【happy marriage】

08'11.04   KAHIME.

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