ShortT

□どうして貴方は
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「ちょ……崎ィ?」

「…………………」


俺は隊長を無視して室内へと入った

隊長はいかにも不思議そうな顔をしている

でも俺は振り向かない…


「山崎?一体どーしたんでィ」


そう言いながら隊長は掴まれていない片手で俺の肩に触れた


「っ!!」


肩に触れた隊長の手に俺はビクッとなり、その手を払い除けようと思った途端…

体の重心バランスが崩れ隊長に寄り掛かる事となってしまった


「ぅわっ」

「なっ!?」


隊長もあまりの急な出来事に対応出来なかったのだろう…

隊長は手こそ出したものの俺を支える事は出来ずそのまま倒れてしまった


「ってェ!山崎てめ…」

「あ、すみま……」


直ぐに体勢を起こそうとして、気付いた

今現在、ハタから見れば俺は隊長を押し倒しているかの様な状況に陥っていた…


………どうしようか。



視線を降ろして隊長を改めて見つめてみた

…隊長の瞳は赤いなぁ…

しかも幼い顔立ちに栗色の髪…


「…山崎、退けィ……」

「隊長、俺…貴方に質問しましたよね…」

「え……?」

「『副長の事』…」


そう言うと隊長は俺から目をそらした


「意味が分かんねェ…」

「隊長…」


ここまで問い詰めても言わないのだから、もうずっとしらばっくれるだろう

でも、そうしたら…俺は?

隊長が副長をどう思っているかというだけで必然的に俺の立場が決まる

俺は…隊長の幸せを一番に考えるから…

だから、ここで。

今はっきりさせなきゃいけない。

否、今はっきりさせるしかない。


「山崎、もう退……っ!?」


俺は隊長の手首を持っていた手錠で拘束した

『ガチャッ』と響く金属音に隊長は眼を見開く

腕が動かれては面倒なので右手でしっかりと押さえ付けた


「山崎…どういう事でィ…」

「…アンタが言わないからですよ。副長をどう思っているかって」

「っ……」


隊長は柄にもなく少し焦りだした

…本当は何もする気はない

でも、はっきりしない隊長の態度に苛立っているのは確かだ

せめて、何か言ってほしい

否定でも軽蔑でも侮辱でも…何でもいいから…

何か…貴方の口から貴方を諦めきれる様な言葉が欲しいんです…



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