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□非番の過ごし方
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真選組隊士が寝静まり、虫の音しか聞こえない閑静な時間帯。
しかしその中のNo.2である副長、土方十四郎は今だ机に向かっていた。


「…よし、出来た」


握っていたペンをコロンと転がし、書いていた紙を手に取る。そして、それを見てため息をついた。

その紙に書かれていたのはいつもの堅苦しい文章や始末書ではなく、『明日の予定』であった。
最近寝ていなかったからか、近藤の配慮で翌日が非番になってしまった為、仕方なく予定を決めていた。
勿論、最近忙しいのに副長が休んでられるかと抗議したが近くにいた山崎が近藤に大賛成したため、それ以上抵抗出来なかった。


「…別に休みなんか要らねーけどな…」


ぽつりと土方は呟いた。
独り者の自分は何もすることもないし、かといってぐっすり眠るのも躊躇われる。

いつも非番の過ごし方には困る。フラフラして結局実りのない一日になってしまう。
そう思った土方は、仕事を終わらせたあとに、翌日を有意義なものにする為に、白紙に書き出してみたのだ。
端正な字で書かれた内容は、以下の通り。

朝⇒朝風呂入る
  刀を研ぐ

昼⇒土方スペシャル食いに行く
  映画『えいりあんVSニート』鑑賞
  いいカンジの棚買う
  マッサージチェアーで寛ぐ
  
夜⇒寝る


「……いつもよりは充実してるよな、ウン」


朝のミーティングは参加するが、それ以降は本当に困る。とりあえず朝風呂を思いつき書いてみた。刀を研ぐのは日課だが、朝風呂だけでは物足りなく、付け足した。

昼食はやはり土方スペシャル。本人の中では常識である。映画は、前回非番だった時に見たシリーズの二作目を前から見たくて書いた。
そのあとの予定は本当適当に書いた。夜なんか酷いもんである。

男らしく夜の町に繰り出してもいいが、そんな気分でもないし余り興味もない。
近藤に、たまにはそういう所通っちゃえと言われたが、ぶっちゃけキャバクラ『スマイル』でベロンベロンに酔った近藤を連れ戻しに毎回行かされるため、ある意味自分も通っているのだ。


「…ま、久しぶりだしゆっくりさせてもらうか」


土方はその紙を机に戻し、電気を消してあらかじめ敷いてあった布団に寝転んだ。
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