Long
□あやまち
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夜。
もう8時になるというのに渋谷はまるで昼間の様に明るかった
明るすぎる渋谷の街を派手な着物を着た男が一人、歩いている
「お兄さん、俺と遊ばねぇ?」
後ろから声が聞こえ男はゆっくりと振り返る
見ると三十代位の男がニヤつきながら立っている
(来た来た。良いカモが………)
「悪ィな。今忙しいんだ」
そう言ってわざと焦らす。
「そんなつれねぇ事言うなよ〜」
中年男はそう言いながら男の腰や内股を撫で回した
「なァいいだろ…?」と耳元で囁く
男は薄い笑みを浮かべ、中年男の目をじっと見つめながらこう言った
「俺は高いぞ?」
中年男の手がピタリと止まる
「……幾らだ……?」
「十万」
男はサラリと答える。
それを聞いた中年男は顎に手を当て暫し考え込んでいたが、ニヤリと笑って
「分かった。何でもありだな?」
「あぁ。好きにしろ」
男も中年男の顔を見つめながら小さく笑った
『あやまち』
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