ShortT

□真選組の非日常
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まだ完全に日が昇っていない、朝日が爽やかなこの時間帯。

だが、真選組の副長である土方と優秀な監察である山崎は、そんな爽やかな空気とは真逆とも言える様な話をしていた。


「山崎、奴等の黒幕は大体把握出来たか?」

「はい。おそらくまた桂が関わっている可能性大です。」


副長室でお互いに向き合いながら真剣に会話を交わす。

土方は一枚の紙を見ながら吐き捨てる様に呟く。


「ったく…また桂か。高杉よりァマシだが、一々総動員で荒れた攘夷浪士共を捕まえる俺達の身にもなってほしいもんだ」


静かにマヨライターを取り出し煙草に火を点ける。そして、土方が下を向いた瞬間ギロッと山崎を睨んだ。

前髪からチラリと見える瞳孔が開いた状態は、沖田以外の誰もが恐怖を感じさせる。


「いいか…今日中に桂の潜伏する場所を洗え。分かり次第連絡しろ」

「はい。…あ、副長。ちょっといいですか」

「…?」


もう一度ニコチンを摂取しようと顔の手前まで近付いた手を止め、山崎を見る。

山崎は変わらず真剣な面差しで口を開いた。


「すいません、副長…今日はミントン愛好会の面接日なんで」


バリバリシリアスモードだった土方は不自然に強張り壮大な怒りを含めた表情になった。

スケジュール帳を確認する山崎に土方はブチ切れ、勢いよく胸倉を掴んだ。


「おいコラ山崎…てめェは桂よりミントン愛好会を選ぶのか…?」

「ヒイィ!!だ、だって俺昨夜も張り込みで仕事してたんスよ!!少し位趣味の時間があっても…」

「てめっふざけんなよ!!?大体ミントン愛好会で面接日ってナニ?意味分かんないんですけどオォ!!」


余りにも筋の通らない話に苛つき土方は山崎を勢いよく蹴飛ばした。

案の定山崎は吹っ飛ばされ、庭にある池に激しく水しぶきを上げながら飛び込んだ。

その瞬間。


「ゔッ……!!?」


突如頭が激痛に襲われたのだ。

土方は煙草を落とし、片手で頭を抱える。


「ぐぁあッ…な、んだッ……!!?」


風邪の痛みとは比にならないレベルの頭痛。まるで脳内に直接物凄い電流が走った様だ。

余りの痛さに耐え切れず、土方はその場で地に伏せて意識を飛ばした。


「ぜぇっ…ぜぇっ…ふ、副長痛いで…って副長!!?」


やっと池から這い出た途端、上司が倒れてるのを目の当たりにし、山崎は急いで駆け寄ろうとした。


「副長!?まさか俺が殺…い゙っ!!?」


在ろう事か、山崎にも土方と同じ苦しみが訪れた。

山崎は、土方と違い直ぐに耐え切れなくなり、間もなく倒れ気絶した…。
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