ShortT
□アンタがいないと
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「おい、聞いたかよ?」
「あぁ聞いた!まさかあの人が…なァ」
「こりゃあ…ある意味チャンスじゃねぇ?」
そう話しながら走り去る隊士達。
たった今隊服に着替えて部屋から出てきた俺は何が起こっているのか把握していない
…何せ片付けなくてはならない書類が山積みだった為朝の四時に就寝したのだ
勿論目元にはクマがある
元々朝に弱いというのも一つの理由だ
「…はァ…だりィ…」
普段ならこんな言葉意地でも言わないように心掛けているのだが…。
流石に今は本気でダルい。
覚束ない足取りで食堂に向かうと、また後ろの方から忙しい足音がよぎった
「今部屋で寝てるって本当かよ!?」
「本当だ!あの人の寝顔見たことないけど、絶対可愛いよな!!」
「普段でも十分可愛いんだけど、寝顔とか反則だろ!!あ、副長お早うございます!!」
「あ!?あ、あぁ。」
何だ、さっきから『あの人』って!?
しかも可愛いって…誰だ?女か?もしかしてまた寺門通か?
そんな事を思いながら食堂の扉を開けた
「…………?」
珍しく、食堂には誰一人として隊士はいなかった
…何でだ?
起きた時間が遅すぎたかと時計を確認するが、7時半過ぎ位で何時もと変わらない
「ったく…。誰だよ『あの人』って…」
半ば呆れながらも再び入口の扉を閉めた
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