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□高嶺の花とは君の事
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時は攘夷戦争中…

『白夜叉』と呼ばれた俺は、沢山の戦場を駆け回っていた


「白夜叉!!こっちも大変だ!後で応援に来てほしい!!」

「え…、あぁ、分かった…」



本当は人なんか斬りたくない…。

いくら相手が敵だとしても傷つけるのは嫌だった。

だが、『白夜叉』と偉大な肩書きを煽られた俺は次から次へと応援の依頼が殺到した


「白夜叉…!!貴様…化け物か…!」

「…残念。只の人間…だッ!!」

「ぐあぁあッ!!!」


ゴツイ出で立ちの天人にトドメを刺す。

乍(たちまち)、その天人は動かなくなった


「白夜叉!!よくも仲間をオォ!!!」

「殺してやる!」

「……遅ぇよ」


ザシュッ、とまた鈍い音が俺の耳に響く

体が勝手に天人を殺していく…。まるで心と体が別になった気分だった


「銀時さ…助け……」

「!!オイ、大丈夫か!!?」


仲間も酷い目に合う始末

その兵士は腹部を押さえ、肩で息をしていた


「…銀と…助け……銀…助……ぎ…」

「待ってろ!今…何とかするから……!!」


俺の名を繰り返す仲間…。

しかし、その傷は深く…直に死ぬと悟った


「ぎ……た……」

「…すまねぇ…っ!!」


数秒後、やがて兵士は動かなくなり只の死体と成り下がった



「こんな…」



こんな事は望んじゃいなかった…

敵も仲間も死ぬ…その繰り返しだ


「こんな…間違ってる…」


血の雨が降る中、呆然と戦争というものを改めて知る


そんな俺に見兼ねたのか、ヅラが戦いながら大声で問い掛けてきた


「銀時!!どうした!?傷でも負ったか!?」

「い、いや…大丈夫だ…」



本当は大丈夫じゃない…。

この場から逃げ出したい

でも逃げたら沢山の仲間が死ぬ


「ヅラ、応援…行ってくる…」

「くっ…銀時!死ぬなよ!!」


『死ぬなよ』?

既に俺の前で仲間が死んでんだよ…



そうして何とかその日は乗り切り、静かな夜が訪れた
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