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□第一回アンケート結果小説
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《銀沖》


今日は12月25日。いわばクリスマスだ

世のカップルにとっては最高の日の筈。

でも、俺の恋人は毎日暇だからクリスマスなんて大いに楽しんでる気がする


「……さむっ……」


何時もの着流しに上着を羽織ながら雪がちらつく中、俺は万事屋へと向かっていた

本当はまだ仕事なんて山積みだし暇なんてない筈だが、土方から許可が降りた為来てしまった…

そして、気付けばいつの間にか既に玄関の前。

中からはチャイナやメガネの声は聞こえない


「旦那ァ〜入りますぜ〜」


どうせ鍵もない扉だからとノックもせずにガラッと開けた

それでもまだ旦那は来ない


まさか、倒れたとか…?


「いや、ナイナイ…」


旦那に限ってそんな…ねぇ?

悪いとは思ったが何の許可も無しにリビングに行った


「…やっぱりなァ…」

「………ぐー………」


予想通り、やっぱり旦那はソファーで横になって寝ていた

…クリスマスですぜ?


「旦那ァー、プレゼントに大福買ってきやしたぜ」

「……ぐー………」

「駄目だこりゃ」


ま、大体予想はしてたけどねィ…

旦那ってクリスマスっつーガラじゃねぇし。

《クリスマスの夜は恋人と甘い一時を》とかなさそうだからなァ…

ふわふわした銀髮を少し触りながらじっと見ていた


すると。


「触った……」

「え?………!!?」


旦那は紅い目を薄らと開け次の瞬間、俺は旦那の胸の中にいた

その早すぎる行動を俺は理解出来なかった


「………えぇ?」

「銀さん、待ってたよ…ずっと」


そう耳元で囁きながら強く抱き締める

俺は耳も顔も真っ赤になりとても恥ずかしくなった


「何、恥ずかしがってんの?」

「ちっ違いまさァ!!ていうか…寝たふりしたんですかィ!?」

「折角のクリスマスを忘れるなんて勿体ない事する訳ないじゃん?やっぱ彼女が来ないとね」

「か…彼女……」


彼女って俺ですかねィ!?

でも、ちょっぴり嬉しいな

やべ…、俺…女みてェ…


「旦那…ありがとうございやす」

「どいたま!」


旦那は本当に優しいな…

これからのクリスマスもこんな甘い日になりますように……



END
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