ShortT

□アンタがいないと
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「ったく…たるんでやがるな…」


俺は愚痴を溢しながら煙草に火を点けようとマヨライターを取り出した

そして元来た廊下をまた歩いていると、ある隊士が物凄い勢いでこっちに向かってきた

その隊士が誰だかまだよく分からない…


「……?」

「大変だ大変だアァ!!!あっ、副長お早うございます!!」

「…隈無(くまなく)…か?」


奴との距離が短時間でかなり短くなり、それに伴ってその隊士が隈無だと分かった……が。


「副長今日もタマ菌…ってぅぉおおおお!!?」

「!!?」


余りにも速かった所為か、隈無は何故かツルンと足を滑らせ俺に激突してきた

その衝撃で俺は突き飛ばされると同時に持っていたマヨライターが宙を舞った


「痛ってェ!!てめェ隈無!!何のつもりだコラァ!!」

「つい急いでいましたので…すみませんん!!!」

「『すみません』って済むんだったらなァ、警察なんていらな………」


ん?

コイツそういえば自棄に急いでんな…。

何時もは『タマ菌ネタ』以外冷静沈着な筈だが…

何かあったのか?

マヨライターを渋々拾いながら俺は静かに聞いた


「おい隈無」

「は、はい」

「お前自棄にさっきから急いでるな?」

「……え…」

「?」


何だ、そのYESでもNOでもない返事は。 

でも今隊士達の中で何かあったという事は分かった


「おかしいと思ったんだよなァ。朝から珍しく騒がしいし、食堂には誰もいないし」

「…………」


隈無は少し俯いた

その行動が何を意味しているのか分からないが…


「……………」


隈無は黙ったままだ

仕方ない、質問を変えよう


「…分かった。ならてめェは今急いで何処に向かってたんだ?」

「…食堂です」


やっと口を開いたぜ、このタマ菌野郎

いや本人にはタマ菌ついてないけど…


「何で食堂だ?今日の飯当番は確か一番隊だった筈…」


その時、頭にパッとある人物の顔が過った


「…総悟」


そういえば、今日一度も総悟を見掛けていない…
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