明晰夢
□Dove 【完】
1ページ/1ページ
出会いというのは、突然なものだ。
もちろん、私とあれとの出会いも例外ではなく、
突然なものだったのだが。
「こんなところに・・・、鳩?」
高校からの帰り道、あとほんの少しで家という所で
一羽の鳩が道路に落ちているのを見てとった。
いつもの私だったら一目見たとしても気には留めず
そのまま帰り道を行っただろうが、そうしなかったのは
ただの気まぐれだったのだろうか。
それとも、あの鳩があまりにも美しい青色だったからだろうか。
今ではもう分かりはしない。
ただ、あの日の私は、何かに取り憑かれたかのように道路に飛び出し
その鳩を拾い上げた。
その数秒後、耳をつんざくクラクションが私を突き刺し、
記憶が途切れることになる。
青い鳩の体は一瞬で紅く染まった。
そして倒れた少女の傍ら、
紅の鳩が、空に帰っていった。
.