明晰夢
□白い花 〈完〉
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「・・・ねみぃ。」
カツカツと響きのいい音をたてて、緑色の黒板が白色に染まっていく。
俺は高校2年生。
入学したての若造でもなければ、大学入試をひかえた3年生でもない。
つまり、今が1番平和で、1番楽しい時期なのだ。
キーンコーンカーンコーンッ
チャイムが鳴った瞬間、俺の目はすっきり覚める。
もうこの後には授業がない。
心の中でガッツポーズをした後、すぐさまバックをつかんで廊下に向かって走り出した。
「おい! あいさつ終わってないぞ!!」
ゲ。そういやこの先生、怒るとチョー怖いんだっけ。
失敗失敗。
でも、俺は止まるわけにはいかないのだ。
「すいません、先生!」
長めの髪が風で揺れる。
くるっと振り向き、俺はバックを持つ手を先生へ向けた。
「待たせてる人がいるんですっ!!」
そう言い捨てて、廊下に飛び出す。
俺 ―――――・・・、高校2年、佐藤 智也 (さとう ともや)。
幼なじみと「カレカノ」中!!
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