明晰夢

□コこロ・・・  〈完〉
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「ただいま、ノエル」



バックを片手に私に話しかけるのは、1ヶ月前に私に拾ってくれた男の子。


ノエルっていうのは私の名前みたい。

名のない私に、少年は名前をくれた。


でも、私は「ありがとう」も言うことができない。


私の喉は生れたときからつぶれているようで、声を発したことは記憶のどこにもありはしないのだ。




「今日はね、子猫を見たんだよ。」



笑って話しかける少年。





―――― あぁ、名前を教えて・・・?


なんて、夢のまた夢。




あなたに話すことさえできないわ・・・。


























― 5ヶ月後 ―


今日の彼の様子はおかしい。


いつもなら帰ってきたときに「ただいま、ノエル」って笑って言ってくれるのに、


・・・どうして・・・?




今日は私をチラッと見て、そっぽを向く。



―――― 機嫌でも悪いのかしら・・・?





その日、少年は何も話さなかった。











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