明晰夢

□コこロ・・・  〈完〉
5ページ/6ページ















「川野さーん! 大丈夫でしたかー!?」



家から出て灰を落としていた俺に、知り合いの近所のおじさんが近づいてきた。


もう彼女は帰ってしまった。


当然と思う。





「あーあ。跡形も残らなかったなー。 次は何処に住もう・・・。」



そうぼやいた俺。

そんな俺を見て、おじさんは溜息をついた。



「あんたって人は・・・。 もうちょっと悲しんだらどうだい?」




俺は小さく鼻を鳴らし、日の昇りきった青い空を見上げる。








「いいんですよ、あんな家。」







昔から・・・。



そう。 あれを拾った時から、何か不気味な感じがしていた。




見つめられているような、見張られているような・・・。







これでやっと解放される・・・。








あの雨の日に拾った、人形から・・・。












fin...
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ