明晰夢
□包帯 〈完〉
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僕は自分の部屋を出て、リビングのある1階に下りた。
「おはよう、お母さん。」
・・・・・・・・・・・。
・・・・あれ?返事がない?
真っ赤なフローリングの上をとおってソファーの所に行くと、眠っているお母さんがいた。
「んもー、だめだよお母さん!起きてったらー!」
「・・・・・・・・・・。」
「無視しないでー」
激しく腕をたたくと、お母さんはうっすらと目を開き僕の姿を見つめる。
「―――――――。」
「え?なに、聞こえないよっ」
またお母さんの腕をたたく。
「―――――――ね」
「なに?また僕のこと“化けもの”って呼ぶつもり?」
それはもう聞き飽きたよと笑う僕をお母さんは静かに引き寄せ、耳元で呟いた。
「――――――ごめんね・・・」
そう言うと、お母さんはまた眠ってしまった。
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