蒼眼のシリウス
□CHAPTER T
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――――保護区である大森林のすぐ傍なら、きっと安全だ。
国は確信を持ってこの研究所を建設した。
そして科学者である父は、この研究所に配属された。
安全のため、この研究所内で生活することを余儀なくされた父。
大好きな父と共に暮らせないのは寂しいが、
配属された科学者の家族は、2ヶ月に1回だけ面会に来ることが許されている。
だから今日は、2ヶ月にたった1度の特別な日。
残念ながら母は用事で、一緒に来ることができなかった。
できれば、次は2人で会いに行きたい。
……自分たちに、「2ヵ月後」が来るのであれば。
―――――――――ガタン
汽車が停車する音に、少女はハッとして目を開いた。
いつの間にか、寝てしまっていたようだ。
……えっと………ここは……。
「あっ!ここ、降りる駅?!」
足元に置いていたボストンバッグを乱暴に掴み取り、急いで乗降口に向かう。
……………シュゥゥゥゥゥ
乗降口の扉が閉まり、再び鈍い音をあげて走り出す汽車。
それを見送りながら、少女は大きく伸びをした。
……やっと、この日が来たんだ。
もうすぐ父に会えると思うと、居ても立っても居られない。
少女は伸びを終えると、すぐに線路に背を向けて歩き出した。