novel

□time
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静かな屯所内に
庭からの蝉の声が響く。

風は心地良く優しく吹いていた。

そんな屯所の室内で土方は
ゆっくりと話し始めた。

「なあ…総悟真面目に聞いてくれ…」

眉間にしわを寄せる土方に
キョトンとした顔で

「なんですかい?怖い顔して」

と返す


「俺…」

「?」

沖田はまた不思議そうな表情をしていた。

「俺の…」

言葉を区切り深く息を
吸いながら話す土方を
じっと見つめる沖田。

「だから何ですかイ?」



「俺…命…長くないんだと……」


土方は刀を握り締めて
手が震えていた。
畳に顔を向けてそう言った。


すると沖田はフッっ笑うと

「土方さーん
おっちょこちょいだなあー
今日は5月1日
エイプリールフールは
丁度1ヶ月まえですぜえ?」

楽し気に笑って見せた


「なぁ…総悟…まじめに…」

声は震えていた

「案外土方さん諦めわるいですねえそんな嘘
もうバレてまさあー」



そして
結局最後まで
沖田はこの話を
信じようとはしなかった。
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