戦国BASARA

□ただいま
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「1570円になります」



言われた金額を財布の中から取り出す。

流石に70円は持ってなかったから1600円出してお釣りを貰って袋を受け取ってコンビニを出た。


段々人通りが多くなって来て早く帰ろう、と足を速めた。

元々人混みの中があんまり好きじゃなかった。



がやがやしてて煩いし、大勢の中の1人、なんて何か生きてる意味あるのかな、とか思ったりした。


今はそんなことどうでもいいと思ってるけど
やっぱり人混みが苦手なのは変わらない。


アメリカに行った時予想以上の人混みで焦ったほどだった。



(こんな人混み、可愛いものか・・・)



部屋について買ってきたおにぎりと天然水を袋から出してテレビを見ながら食べた。

一人ってやっぱり寂しいな、なんて感じた。


向こうに居たときは一緒にアメリカに行った友達と同居してた。


私の仕事はデザイナー。


まだ全然名前が売れないけど勉強をしにアメリカに行った。


アメリカじゃなくてもいいのに、って言われたけど日本から離れてみるのもいいかなって。

もっと言うと政宗から離れたかったのかも知れない。


嫌いじゃなかったけど向こうは私の事なんか見てなかったし。


時期も丁度良かったし行こうと思った。

5年間アメリカに居たけどやっぱり政宗のことを思わない日なんてなかった。

やっぱり寂しいな・・・



(友達に電話しよ・・・)



同居してた友達に電話したら2回目のコールで友達が出た。



『もしもし?ユメ??』


「もしもし??」


『どうかした??』


「ううん、何か、寂しくて。」


『あ、それ分かる!!一人になると意外に寂しいもんだね!』


「そんな明るく言えるんだったらまだいいじゃない。」


『でも私たちには仕事があるからさ。』


「そうだね。」


『そう言えば明日からこっちで仕事復帰だねー。また一緒に頑張ろうね!』


「勿論。」


『明日くらい休みでもいいかなーって思ったんだけどねー。』


「買い物くらいしたいね。」


『そうだねー。あ、そうだ!!――』




それから何だかんだ話して1時間くらい過ぎていた。



『そろそろ切るねー?また寂しかったら電話して!』


「ゴメンね。じゃぁまた明日。」


『うん、ばいばーい♪』



さて、そろそろ寝ようかなと思った時携帯がまた鳴った。



ディスプレイと見ると「政宗」の文字。

目を疑ったけどそんなことどうでもよく、出るか出ないか考えた。



出たい、けど何言われるかわかんない。



正式に別れようって言われるかも知れない。



それはそれで政宗が幸せになれるんだったらいいと思うし、どうしようと考えているうちに電話が切れた。



またやっちゃったな・・・と思いながら落胆してると再び同じ着信音が流れた。



しょうがない、と思い携帯をあけて通話ボタンを押した。



「・・・・」


『ユメ・・・か?』


「私意外に誰が居るの?」


『そうだな。』


「・・・相変わらず。」


『Ah??』


「全然変わってない。」


『お前は変わったな。』


「そう?」


『あぁ。』



自分は自分だから変わったとかよくわからないけど。

5年振りに聞く貴方の声は全然変わらない。

懐かしくって、嬉しくって。



「・・何か用??」


『あー・・・家行っていいか??」


「・・・別に構わない。」


『そうか。じゃぁ今から行く。』


「待ってる。」


『・・・あぁ。』


「??」


『じゃぁな。』


「うん。」



彼が、来る。

まだ片付けきれていない荷物を急いで片した。

電話だけでもこんなに緊張するのに実際に会うなんて無理。

顔も合わせられないだろうな。

それと同時に少し嬉しかった。

また電話してくれるとか思わなかったし。

一番最初に何を言おう。



何でもいいか。

まずは会いたい。

好きだと言えたらいいのに・・・。

愛してる、と言えたらいいのに。








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