戦国BASARA
□確かに
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「旦那ー!早くしないと置いてくよー??」
「ま、待った!佐助!!」
「焦ると転ぶよー?」
「む!?佐助が急げと申したのではないか!!」
「そうだけどそんなに急ぐ事じゃないからね。俺様バカじゃないんだからちゃんと遅刻しないように計画立ててるんだから。」
「流石我が友!!」
「えへへー。」
「ったく、朝から煩い奴だな。」
「かすが殿!!」
「あれ、かすがちゃんいつもこの時間だっけ??」
「今日は謙信様・・・謙信先生の授業があるからな。早めに行って授業内容を終わらせておく。」
「それじゃ授業にならないんじゃ・・・」
「凄いでござるぞかすが殿!」
「っふ。当然だ。」
「そ、某も見習わなくては・・・!うぉぉぉおおお!!!」
「ちょ、旦那ぁ??」
「じゃぁな、猿飛。」
「ぇ、ぁあ・・うん・・・」
結局俺様って一人なのね・・・・。
一人でとぼとぼ歩いてると女子が寄ってきた。
嗚呼・・正直嬉しくないって。
きゃあきゃあ騒いで楽しい??
どうせ顔しか見てないくせに。
なんて心で皮肉をこれでもかと言うほど吐きながら教室に向かった。
教室の中でもその状態は担任が来るまで続く。
毎日こんな感じだから慣れたけど耳元でそんなに騒がないで欲しい。
俺様の何知ってるの??
なんてつい言ってしまいそうで。
イライラしたりするけど基本女の子は大事にするよ、そりゃーね??
「Ha!!相変わらずシケた面してんな!猿。」
「うるさいよ、竜の旦那。」
「そんなんじゃいいやつ見つけたって落とせねぇぜ??」
「その心配は要らないよ。」
「随分余裕だな。」
「竜の旦那ほどじゃないよ。」
「ところで猿、元親見なかったか??」
「そう言えば見てないねー。」
いつもだったら学校内で騒いでるんだけど今日はその騒ぎ声が聞こえなかったことを思い出した。
夜咲さん、何か知ってるかな・・・。
夜咲さんが座ってる窓側の一番後ろに向かった。
この席俺様も狙ってたのに夜咲さんの強運で取られたんだよね。
俺様だけじゃなくてクラス全員狙ってるだろうけど。
「お、おはよう・・・夜咲サン・・・。」
「・・・。」
ペコリと頭を下げてきた。
今日もいつもと変わらない。
正直ずるい人だな、って思った。
人と話をしないのも、常に無表情なのも全部長曾我部の旦那の前では正反対。
長曾我部の旦那が好きだからって理由じゃないと思うけど、なんか許せない部分があったりするんだよね。
彼女なりに色々理由はあるんだと思うんだけどね・・・。
俺様も本音言わないと事とかあるし・・・お互い様なのかも知れないけど。
騙して、楽しい??
夜咲さんに対しての言葉。
だけど俺様の胸にも重く圧し掛かる。
「ね、ねぇ・・・夜咲さん、長曾我部の旦那、知らない??」
俺が聞くと一瞬夜咲さんの目が丸くなった。
こっちが驚いたけど夜咲さんははっとしたようにすぐ元の無表情に戻った。
そしておもむろにノートと筆箱を取り出してシャーペンを何度かカチカチと鳴らすと何かを書き始めた。
―長曾我部君なら遅刻してくる――
「そっか。ありがと。でもなんで夜咲さんが知ってるの??」
「・・・・・・・。」
ただのクラスメイトだったら知らないもんね、普通。
――近所に住んでるから――
「そっか。ごめんね、ありがとう。」
そう言うと夜咲さんは首を横に振った。
その話の通り長曾我部の旦那は三時限目に来た。
しかも遅刻した理由が夜遅くまで勉強してたから。らしい。
そのせいで寝坊したみたいだ。
まぁ出来が良くなってるかは別としてね??
でも長曾我部の旦那が一人でしかも夜遅くまで勉強なんて出来るわけないよね。
集中できたとしても良くて1時間。悪くて30分。
長曾我部の旦那意外に真面目な性格してるからわかんない問題があるとその問題わかるまで考えてるしね。
誰にも聞かないで一人でずっと。
前に答え言ったら殺されそうになったしね。
そんな真面目なら塾とか行けばいいのに・・・。
でも長曾我部の旦那が塾に居たら怖くて誰も入れないだろうな、ある意味。
眼鏡とかかけはじめちゃったらどうしよ。
しばらく距離置こうかな。うん、そうしよ。
って言うか隻眼なのに眼鏡って似合わな!
一人でそんな事考えてる内に眠くなってきた。
こう言う時ベストポジションの夜咲さんが座ってる席が寝心地いいんだけどな・・・。
当の本人は流石は首席、全く寝る気もなしにひたすらノートと黒板と睨めっこしていた。
真面目だなぁ・・・。
とか言ってる俺様も席は一番後ろでそれなりいい席。
夜咲さんの隣の隣。
間に挟まれてんのは風魔。
ある意味この二人はお似合いだ。
ぼーっとしてたら竹中先生に名前を呼ばれた。
「ここの答えを猿飛君、君に答えてもらおう。」
「へ??俺様??」
黒板を見ると嫌ーな文字達が並んでいた。
決して分からない問題じゃないと思うけど全然見てなかったし今から計算して答えなきゃいけない。
とりあえず立って頭の中で計算してるとトントンと机を叩く音が聞こえた。
音のする方向を見ると音の発信源は夜咲さんだった。
不思議に見てると机の下のほうで指を折っていた。
「2、28??」
「・・・正解だ、座りたまえ。」
少し竹中先生が悔しそうに顔を歪ませていたのは見なかった事にしよう。
先生が解説をし終わると丁度授業終了を知らせる鐘が鳴った。
「それじゃぁ次の授業では・・・ゴホッゴホッッ!!」
病院行きなよ、先生・・・。