戦国BASARA

□ツンデレ弁当
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「佐助、今日はね、佐助にお弁当持ってきたんだ。」


「え、作ったんじゃなくて持ってきたの?作って持って来たんだか本当にただ持って来たんだけなんだかわかんない言葉止めてくれない??」


「佐助のほうが何言ってるんだかわかんないし。」


「えー??あー・・・ごめん。」



なんで謝ってんだろ、俺・・・。



「で??作ってきたの?」


「なわけないじゃない。私の料理そんなに食べたい??悪いけど次の日手に六文銭持って川渡ってると思うけど。」


「・・・遠慮しときます。」



料理出来るように努力するっていう選択肢はユメちゃんの中には存在しなかった。

面倒事が大変大嫌いなユメちゃんだからね。

俺の為になんかやるより自分の為になるような事やる子だよね、ユメちゃんは・・・。

自分で言ってて悲しくなってきた。



「・・・」


「なに??」


「・・・いや、手作り感溢れてない??」



弁当箱を溜め息混じりに開けると全部手作りなんじゃないかと思うほど彩り鮮やかで綺麗なお弁当だった。



「・・・仮に私がこのお弁当全部作ったとしたらもう少し色が限定されてくるかな。」


「八割黒っぽいよね。」


「まぁね。」



半分以上、弁当の殆どが焦げたりなんだりしてる状態だって事だね、ウン。

でもさ、ユメちゃん、そんなに自慢げに「まぁね。」って言う事じゃないよ、これ。



「じゃぁこれ誰が作ったの??」


「母に作らせたわ。」


「あぁ・・・そっか。」



なんか凄い複雑なんだけど。

俺の為に態々弁当作ってくれたなんて嬉しいけど渡す相手が娘の彼氏って・・・どうなの、ユメちゃんママ・・・。



普通だったら娘に「彼氏の弁当作って」とか言われたら「そんなの自分で作らなくちゃ意味ないじゃない」とか言うんだろうな・・・。

快く引き受けちゃったのね、ユメちゃんママは。

ユメちゃんは別に気にしないだろうけどさ、って言うか絶対気にしてないだろうけど渡された人ってすっごい複雑な気分よ??



まぁ・・・ユメちゃんの作ったお弁当も食べてみたいって言う気持ちも幾らかはあるけどまだもう少し生きていたいかな。



「いただきます。」


「どうぞ。」



我が物顔で言われてもねぇ・・・ι

まぁ作ってもらった俺様が言えることじゃないんだけど・・・。

俺様几帳面だから?弁当でもなんでも端っこから食べていくんだよね〜。

なんていいながらおかずを食べていく。どれもすごく美味しい。


そんな姿を見飽きたのかユメちゃんは屋上のフェンスに寄りかかって校庭を見下ろしていた。

サッカーしてる奴、野球してる奴、テニスやってる女子。

いろんな人がいろんなことをしていてそれを一気に端っこから見ていくのは楽しいなとも思った。


弁当の真ん中の部分に達した時箸がふと止まった。

ユメちゃんは校庭を見ているから気がつかないだろうけど。


今口の中に入れた卵焼きだけなんとも普通な味だった。

ユメちゃんママには失礼かも知れないけど・・・。

他のおかずは美味しい!っていえるんだけどこの卵焼きだけいたって普通だ。

美味しいと言えば美味しい、かな。


なんて頭の中で考えてたらユメちゃんがこっちを振り返ってきてどう??って聞いてきた。



「卵焼き??うん・・・美味しい、よ??」


「・・・曖昧だな。」



そう言うとユメちゃんはまた校庭を見下ろし始めた。


他の物も食べたけど卵焼き以外はどれも普通に美味しかった。

ほんと何故か卵焼きだけはなんとも言えない。


美味しいんだけど何か足りないし、でも決して不味いわけじゃないし、普通って言っちゃうとその言葉じゃ足りない気がするし・・・

なんか言葉じゃ言えない味。


どのおかずよりも味は少しだけ劣っていたけど代わりに胸が満たされるような美味しさ。


「ご馳走様でした。」


「お粗末様。」


「ユメちゃんママは卵焼きが苦手なの??」


「別に。」


「そう・・・」


「なんで??」


「ん〜・・・相当失礼な事言っちゃうかも知れないんだけど、卵焼きも勿論美味しかったよ。でも卵焼き以外はすっごく美味しかった。」


「すっごく美味しいと美味しいの差がわかんない。」



すっごく分かりにくいんだけど。と返された。

卵焼き以外すっごく美味しい。



だけどね、


「ユメちゃん、??」


「何??」


「ユメちゃんママに卵焼きが一番美味しかったです。よかったらまた作ってくださいって言っておいて??」


「さっきと言ってること違うし・・・」


「いいのいいの、よろしくね?」


「うん・・・」



ユメちゃんが嬉しそうに笑ったから俺様まで嬉しくなっちゃって。


ユメちゃんってツンデレなのよ。


だからユメちゃんがこんな満面の笑みなんて見せてくれると天にも昇っちゃうわけよ。



「ユメちゃん。」


「なに??」


「ごめんね??」


「な、なんで・・・」



ユメちゃんは少し動揺して急いで弁当箱をしまって教室に戻ろうと立ち上がった。


歩き始めると同時に俺はユメちゃんの手首をパシッと掴んだ。

細くて白くて女の子の手。


ユメちゃんって・・・やっぱりツンデレ・・・。


いつでも素直なユメちゃんも可愛いと思うな。

たまにはそういうユメちゃんも見たいと思う。

どんなユメちゃんでも可愛いんだけどね。



「佐助??」


「怪我、させちゃったね。」


「・・・・!」



左手の中指の先には絆創膏。


それを指から無理やり取ると切り傷があった。



「勝手に取らないでよ。」


「卵焼き作ったの、ユメちゃんだよね??」


「・・・」


「美味しかったよ。」


「・・・ほんとに??」



もうちょっとユメちゃんの背が高ければパンツ見えるんだけどな〜←

もちろん小さくてもユメちゃんの事大好きだけど。

それに身長差ないと格好つかないしね。



「確かに味は他のおかずより少し負けてたけどね、食べた瞬間ちょっと分かったんだよ、これユメちゃんが作ったのかなって。」


「どうして」


「う〜ん・・・俺様天才だから??」


「・・・」


「うん・・・ごめん。謝るから・・・謝るからさ、お願い・・・、その氷の眼止めてくれないかな??俺様冬を先取りした気分だったよ、今。


「・・・」


「た、確かにね、他のおかずはすっごく美味しかったよ!?でも卵焼きがホント一番美味しかったんだって!!」



普通なんだけど美味しい。


他がすっごく美味しくたって普通なんだけど美味しい卵焼きが一番美味しくて。



その味の秘密ってさ、





「愛が詰まってるからじゃない??」


「俺様すっごい愛されてる・・・」


「あっそ。」












































ツンデレ弁当
(お高いですよ??)←













































(で、この指の切り傷って何で??)


(だって卵焼きって最後に切るじゃん。)


(それだけで怪我しちゃったの!?)


(悪い??)


((やっぱり弁当一つ作ってもらうのは危ないなー・・・お互いに。))












FIN??

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