戦国BASARA
□ただいま
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コツ、コツンとヒールの音を立てて空港に到着した。
アメリカから日本に帰ってきた。
長年日本を離れてたから道なんてわからなかったけどタクシーを捕まえて紙に書いてある住所までと言って車を出してもらった。
場所は東京。
アメリカに行く前に住んでいた場所。
今もマンションはずっと借りてて出費が激しかったけど何とか借りたまま帰ってこれた。
マンションの8階、804号室。
マンションの管理人さんに挨拶をして部屋に向かった。
荷物が重くて大変だったけど部屋に入った瞬間どうでも良くなった。
何も変わらない部屋。
全部が懐かしくってソファに寝転がった。
だけどここに居れば居るほど彼との思い出が溢れてきて寂しさも感じた。
「外、行こう。」
今帰ってきたばっかりなのにとは自分でも思ったけど少し外を歩きたい気分だった。
どうせこの街は1日中明るい。
夜になっても人が減る事は無い。
ホストクラブやキャバクラ等が建ち並ぶ道に人を探すようにゆっくりゆっくり歩いた。
もちろん人は探してるって言えば探してる。
でも見つかりっこない。
第一もうここには居ないかもしれないし。
向かった先はホストクラブ。
有名なところで毎日賑やかだった気がする。
もういい人見つけて引退してるかも知れない。
だけど知り合いの一人くらい、居るでしょう、と思って中に入った。
「いらっしゃいませ〜ってあれ??ユメ??」
「佐・・・助??」
「やっぱりユメか!久しぶり〜元気してた??」
「もちろん。佐助も変わらずね。」
「いやぁお陰様でね〜。」
「・・・彼は、来てないの??」
「う〜ん・・・」
「いいよ、構わないから、言って?」
「ごめんね。竜の旦那はお得意様のお迎えに行ってるよ。」
「そう。」
「平気??」
「勿論。そんなこといちいち気にしてられないもの。それに・・・もう私の中では別れてるし。」
所謂自然消滅。
政宗だってもう私の事なんか忘れてるでしょ。
そのほうが政宗も幸せだろうし。
「ユメ、強くなった??」
「さぁ。元々じゃない??」
「そうかもね。今日寄ってく??ユメだったら俺様大歓迎〜!」
へらへら笑ってるけど頭の中では何考えてるかイマイチよくわからないのが佐助。
佐助はこのクラブのNO2で政宗の次なんだけど政宗と張り合う気は無いみたい。
佐助は目立ちたがりってわけでもないし、自分中心でとか考えないみたい。
自分はサポートに回るっていうか・・・いつでもサブキャラなんだよ、俺様。
とか言ってたし。
佐助曰くサブキャラは意外に人気があるんだって。
最初は政宗の傍でサポートの仕事したらしいんだけどいつも間にか2番になってたとか。
って話をしてくれたことがあった。
「んー・・今日はいいや。今日帰ってきたばっかりなの。」
「そうだったの??態々会いに来てくれたのに目的の人が居なくて悪いねぇ。」
「いいよいいよ。」
「後で電話させとく??」
「平気。忙しいだろうし・・・私が来た事も言わなくていいからね。」
「そう・・・」
「絶対だからね?」
「はいはい。」
「じゃぁ。」
「またいつでもいらっしゃい♪出来ればお客じゃなくて、会いたいんだけどね。」
「考えとく。」
「!期待して待ってるよ。」
「じゃぁね。」
佐助とは政宗の紹介で会った。
最初は軽い感じの人だなとか思ってたけどちゃんとしっかりしてるしNO2って言うのも納得できた。
(とりあえずご飯買って荷物の整理しなくちゃだなぁ・・・)
ゆっくり歩いて帰ることにした。
ただ何も考えずにゆっくり、ゆっくり。
そしたらふと道路の向こう側にタクシーが一台止まってた。
中から出てきたのは独眼の彼とお得意様だと思われる令嬢。
(・・・・)
特に何も感じなかった。
どうしてだか分からなかったけど昔だったらその場から逃げ出してたかも知れない。
強く、なったのかしらね、私。
あんまり気にせずに通り過ぎた。
ただ、元気そうだ、と思ったから、それでいいと思った。