戦国BASARA
□Rain Day
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「なんか曇ってきたー・・・」
「ユメ知らないのか?今日は午後から雨だぞ」
「うそ・・・知らないよー」
よりによってなんで帰りの時間に降るかなー、とうなだれるユメ。
「お前はいい加減天気予報を見ろ」
「朝時間ないんだって。」
ユメがそう言うと友人、かすがが目を見開いてぱちぱちと目を瞬かせた。
「どうしたの??」
「あいつが起こしに来るんじゃないのか??」
「最近来てないよ?忙しいんじゃない?」
「・・・不安に、ならないのか?」
「うーん・・・確かに不安になるけど・・・」
信じてたいから、と明るく言う。
二人で暮らそうかと考えて居るが中々いい物件が無く話が発展しない今日この頃。
休日彼と物件を探すユメだが年上の彼は就職したため滅多に休みが無い。
ユメは大学進学を希望していて(自称)猛勉強中だ。
別々の道を歩む二人。
当然会う時間は減り、不安は募る。
「でも社内恋愛とかあるよねー・・・」
やっぱり心配・・・かなーとユメは机に突っ伏す。
かすがも何も言えなくて不意に外を向いた。
すると校門の前に深緑の傘が見えた。
「・・・ユメ、今日は一緒に帰れそうにないな。」
「え!?なんでー!?」
がばっ!と勢い良く顔を上げたユメは不満そうに顔を歪めた。
「かすがまさか・・・・彼と一緒に帰るの?そっかーあたし邪魔だもんねー」
「ちっ、違う!!私じゃなくてお前のほうだ!」
「??」
意味が分からない、と言う顔のユメにかすがは若干納得いかないような顔をしながら外を見てみろ、とユメに言う。
ユメは言われた通りに外を向けば動かない深緑の傘。
その深緑の傘はユメの曇っていた表情を晴れさせた。
嬉しそうに微笑むユメの笑みが年齢とそぐわなくてかすがはユメらしい、と苦笑しながら言って来い、と言った。
「また今度、一緒に帰ろうね!!」
「毎日一緒だろ。仕方がないから今日だけは貸してやる」
仕方がないから、を強調して言ったかすがにユメは嬉しい気持ちと複雑な気持ちが混ざったような顔をしながら笑って急いで荷物をまとめ始めた。
「今日は仕事早く終わったんだな。」
「そうみたい。でも違う人だったら気まずいね。」
「ユメが選んだ傘だろ?」
「まぁね!じゃぁかすが、また明日!」
手を振りながら教室を出て行くユメ。
かすがはまた明日、と言いながら小さく手を降り返した。
かすがも帰ろうと荷物を整理しているとユメが教室の出口の所で「ごめんね!」と声をあげた。
誰かとぶつかりそうになったんだろうか、と思ってかすがが顔を上げた瞬間かすがの動きが完全に止まった。
“彼”は廊下を駆けていったユメの背を見送っていた。
ユメが見えなくなり教室を覗いて笑みを溢す“彼”
「外に佐助が居たからさ。もしかしたらかすが一人で帰るのかなーと思って。」
ユメちゃん言い顔してたねー、と言った彼は教室に入る。
「だからってわざわざ来なくてもいいだろ。」
「そう言えばかすがってユメちゃんと佐助が付き合うの最初反対してたよなー」
話を聞け、とかすがは言おうと思ったがどうせ言ってもきかないだろうとため息を吐いた。
「“してた”じゃない。今も反対だ。だが・・・・ユメが幸せならいい。」
「お、丸くなったねー」
「う、うるさい!さっさと帰るぞ、“慶次”」
すたすたと教室から出て行くかすがに眉を下げながら笑い、かすがを追いかける彼、慶次。
後ろからかすがの手を取るとかすがはびっくりしていたが慶次は何食わぬ顔で歩き続けた。
かすがの顔は赤かったに違いない。