戦国BASARA

□たまには孤独も...
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「ユメ殿ー・・・」


「・・・・・・・・」


「ユメ、殿・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・もういいでござる・・・。」



後ろで布の擦れる音がした。幸村が立ち上がろうと方膝を付いたらしい。

このまま縁側に行くんだろうな、と頭の片隅で思ったが視線はそらず執務に意識を戻した。

それが嫌だったのか幸村は今度こそ立ち上がり縁側に向かって座り込み足を放り投げた。

赤い着流しが似合うな、なんて思ったが口には出さず筆を走らせた。



幸村のこと嫌ってるわけじゃない。

ここ最近ずっと放置していた書類が溜まりに溜まってしまい佐助に怒られ全て終わるまで城下にも遊びに行ってはいけないと言われてしまったのだ。

勿論幸村と遊ぶのもダメだ。と言われた。



今日で3日目だ、なんて思いながら朝起きて執務に励んでいたら来たのだ、幸村が。

最初は驚いたが理由を聞くと「佐助から訳は聞いてはいたがユメ殿と話ができないのは納得出来ぬ。」とか言って勝手に来た。



佐助の言いつけをしっかり守らなくちゃいけないとは思ってないけどどうせ幸村と話すなら執務が終わった後ゆっくり城下の散歩ついでに甘味処に寄り話がしたい

と思って今は我慢しているのだ。



幸村には申し訳ない、と声に出さず縁側でぶらぶらと足を揺らして不貞腐れている幸村の背に言った。

寂しくて耳が垂れている子犬みたいだ、と思い幸村に気付かれないようにクスリと笑った。

よし、もうすぐだから頑張ろう。



終わったら幸村に甘えさせよう、なんて幸村が聞いたら「からかわないでくだされ」とか言ってまた拗ねてしまうかも知れない。

等と思いながらも執務に集中した。




「んー!!!!」



しばらくして一伸びすると同時に幸村がきらきらした目でこちらを向いてきたから「まだもう少し待ってね。」と言おうと口を開けた瞬間縁側と反対側の襖が開いた。



「ユメちゃんお疲れ様ー・・・差し入れ持ってきたよー・・・って旦那!?何で旦那居るの!?」


「・・・・」


「いいじゃんか佐助、ここは一番日当たりがいい場所なんだよ。幸村だって日に当たってゆっくりしたいんだよ。」


「そうだよね〜ここの縁側に座ってるとついついウトウトしちゃう・・・ってそうじゃないって!!」


「・・・・」


「だ、旦那??どうかしたの??」


「佐助が気が利かないから怒っちゃったんだよ。あんた私の分しか団子持ってきてないでしょ??」


「え??あ・・うん・・・だって旦那居るとは思わなかったし・・・しかも軽く面会禁止だったんだけどなぁ・・・?」


「・・・・・・・・・らん。」


「「???」」


「某はこの部屋が日当たりのいい場所だからと言う理由で来たわけではござらん!!佐助が某の分も団子を持ってきてくれなかったからでも・・・ご、ござらん!!!」


「あれ、今少し間があったよ・・・旦那・・・ι」


「もういい!!ユメ殿とは口を利かぬ!!」


「幸村???」


「・・・っ!」



幸村はそのまま部屋を去っていってしまった。

佐助が来た瞬間機嫌悪くなっちゃったからなぁ・・佐助嫌われてる??

それとも団子が食べたかったのだろうか・・・・

うーんと唸っていると佐助が口を開いた。



「ありゃかなり怒ってたなぁ・・・ユメちゃんなんかやった??」


「私のせいな訳??」



朝からの出来事を思い出すと引っ掛かるのはひとつ。



「・・・幸村の相手してない。」


「それしかないね〜。」


「でも佐助の言いつけ守ったじゃんか!!」


「そ、そうだけどさ・・ι」



はぁと溜め息をつかれた。私のせいなのは明白だ、多分。

私に非があるきっと。

だけどなんで佐助に溜め息つかれなくちゃいけないんだ!

内心叫んだ後こっちもたまらず溜め息。



「・・・面会禁止になってたでしょ??だから執務終わった後ゆっくり幸村と城下を散歩しに行こうと思ってたんだ。」


「あ〜・・・そういうことね。旦那ここ最近ユメちゃんが執務ものすごい勢いでやってるから構ってくれないって言ってたしなぁ・・・。


「最悪だなー・・・私。死にたいわぁ〜・・・」



幸村が先程座っていた場所に目をやると寂しさが込み上げてきた。



「死なないでよ?旦那が悲しむ。」


「佐助は??」


「さぁ〜・・・どうでしょう??ユメちゃんには旦那がいるから答えてあげないよ。」


「なにそれ。」



苦笑すると佐助はそのまんまの意味だって、と言って笑った。



「執務、あともう少しで一段落するんだ。」


「そこまでいったら休憩あげるよ。」


「言われなくてもする。過労死させるつもり?」


「そこまで俺様も鬼畜じゃないからね〜。」


「そしたら、幸村に会いに行くよ。お姫様の機嫌直しに。」


「それ旦那が聞いてたら怒るよ〜??」


「それ程大事にしてるって事だからいいんだよ。」


「はいはいっと・・・」


んじゃこれでと言って出て行った佐助に小さく手を振り私の可愛い子犬、じゃなくて姫さんに会うため執務を今世紀最大の集中力で片付ける。




君の為に。





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