戦国BASARA
□心配するのはお互い様
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「もしもしユメ??」
「・・・・何・・?」
「え、ちょっと大丈夫??具合悪いの??」
「なんでもない。で、何??」
「うん・・・ならいいんだけど・・今からユメの家行っていい??」
「ダメ」
「えーダメ?」
「駄目って言ってるじゃん。」
「何かあったの??」
「何にも無いから大丈夫。」
「じゃぁ今から行くね。」
「だから駄目って言ってるじゃん。」
「ダメ。んじゃ何か欲しいものあったら言ってね。俺様??いやー嬉しい事言ってくれるねー!今からすっ飛んでいくからね!」
「は!?ちょ、待っ――」
プツリ。と回線が切れて仕方なしに通話終了ボタンをおした。
完全にばれてた。
流石はオカン。
私は今日風邪を引いている。
熱でもなければ喉でもなく咳から来る風邪。
熱だしたら佐助が凄い心配してくるからダメだ。
こういう時はオカンの勘ってやつだかなんだか知らないけど必ずって程電話が来る。
いつもは仕事で忙しいとか言ってるくせに。
体はダルくもないしなんともないから私も家で出来る仕事を今やってるところ。
こんなところ佐助に見られたら小十郎さん並の説教時間が私に襲い掛かってくる。
はぁ、と溜め息を一つしてからパソコンの電源を落としソファに座ってテレビを見ていた。
新型インフルエンザとか迷惑なもんが流行してて町を歩けばマスクをしてる人が沢山。
どうせ流行もんはだいたい流行しないと終わらないから意味ないのに、なんて思ってるとインターホンが鳴った。
鍵が開く音がしてあ、合鍵使ったんだ、と頭の隅でぼんやりと考えていると勢いよくドアが開いた。
「ユメッ!?大丈夫!?風邪引いたでしょ??」
「あー・・・大した事じゃないからそんな急いで来なくてもよかったのに。」
「そんなこと言ってられないでしょ!今インフルエンザ流行ってるんだし・・・」
「うつるから離れて。帰って。」
「俺様無敵だから大丈夫♪」
「ウソツキ。」
「ユメの風邪ならうつってもいいかな〜??それにユメが看病してくれるんでしょ??」
「するわけないでしょ??自分でうつったのがいけないんじゃん。自業自得じゃん。私関係ないもん。」
「素直じゃないなぁ〜。」
「素直じゃなくて結構結構。」
もう怒られるの覚悟でさっき閉じたパソコンを開いて途中だった仕事を再開させる。
後ろのテーブルでビニール袋がガサガザと音を立ててる辺りなんか作る気だな、佐助。
「私お腹空いてない。」
「でも食べなきゃダメ!熱出したりしたら大変でしょ??」
「・・・・」
「俺様に食べさせてもらいたいの??」
「死ね。」
「ひっどーい!!」
気づけ馬鹿。
佐助に風邪うつしたくないから早く帰ってもらいたいのに。
佐助が辛い思いしないように家に来るの拒んだのに。
冷たくすれば帰ってくれるかと思ったのに。
「ユメー??」
「・・・・・・」
「・・・ねぇユメ、」
いつの間に真後ろに来てたんだ、コイツ。
だから近づくなって。
風邪うつっちゃうから近づいちゃダメだって。
なんで分かってくれないのさ。
「心配くらい、させてよね。」
ぎゅうと後ろから抱きしめられて視界の隅で橙色の髪が揺れている。
嗚呼、綺麗だな。
「・・・佐助、」
「何??」
「離れて。」
「嫌だ。」
首に巻かれた腕がさらに強く巻きついてきた。
暑い。熱無いはずなんだけどな。
「ねぇ、私も心配してるの、分かる??」
「わかんない。」
「はぁ・・・。あのねぇ、佐助に風邪うつらないようにしてるんだけど、これでも。」
「・・・もっと俺を頼って??」
「頼りないから嫌だよ。」
「意地悪。」
「男が言うか、普通。」
「いいんだもん。」
「佐助、私ね、リンゴ食べたい。」
「えー冷蔵庫にある?」
「多分ある。」
「はいはい。どうでもいいけど仕事しないでよ。」
「今日中に仕上げるつもりだったやつだからいいの。」
「はぁ・・・仕事馬鹿。」
「あんたに言われたくない。」
「でもそんなユメが好きだよ。」
「私だってそんな佐助が大好きだよ。」
頼りない所とか、って付け足すと酷いなぁ。って苦笑した佐助が可愛いと思った。
心配するのはお互い様
(佐助風邪引いたでしょ??)
(うん・・・。)
(しかも熱でしょ??)
(・・・あはー・・・)
(・・・・・・馬鹿。)
(でもユメの風邪だからいいや。)
(欲しいもの言って。すぐ行くから)
(ユメ。)
(・・・・・幸村連れて行けばいいのね、了解。)
(Σえぇ!!!)
幸村なんかに邪魔されないわよ。
FIN??