戦国BASARA
□確かに
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「夜咲、今日は日直だから日誌頼むぞ。」
「・・・」
「しっかりやらないと悪と見なしお前を処罰するからな。」
「・・・・・」
先ほどから会話?と言うより学級委員長の浅井が一方的に話してるだけの会話に俺は少し耳を傾けてた。
もしかしたら夜咲さん話すかなー・・・と思ったんだけどそうもいかなかった。
夜咲さんはただ首を縦に振るだけで言葉を発することは無かった。
進級してもうしばらく経つのにクラスに馴染まない夜咲ユメ。
見た目はすっごい綺麗で人気あるのに無口な彼女。
そんなクールなところももてる要素らしいけど。
彼女が話しているところを誰も見たことが無い。
喋っても簡単に一言で済ましちゃう事が多いし。
クラスが嫌いなのかな??
よく言えば一人でもやっていける強い子。
悪く言えば浮いてる子。
でもクラスからとか学年から嫌われてるわけでもなく普通に学校生活を送ってるように見える。
彼女にとってはどうでもいい事、なんだろうけど。
そんなユメさんをただの「クラスメイト」としか思ってなかったある日彼女の見方を変える出来事があったんだ。
いつものように長い授業が終わって帰ろうと旦那に帰ろうと言うと旦那は「武田先生に用があるから先帰っててくれ」って言ってきた。
仕方が無いから一人で帰ることにし、荷物を取りに教室に入ろうとすると教室から話し声が聞こえたから入るのはやめて暫く話を聞いてた。
「なんだよ、教えてくれたっていいじゃねぇかよ。首席なんだろ??」
声の主は長曾我部の旦那。
相手は誰なんだろうな、彼女??友達??なんて考えながら入り口の所で気付かれないようにまた耳を傾けた。
昔からこう言うの癖でよくやっちゃうんだよね〜俺様。
そう言えば首席って・・・。
「なぁユメ、お前・・・いい加減クラス慣れろよ。」
「慣れてるじゃん。チカには関係ないでしょ?」
・・・・・・・・・チカ??
夜咲さんが長曾我部の旦那の事チカって言った??
え、うそ。
まさか付き合ってる感じ??鬼の旦那も意外にやるねぇ〜・・。
「・・・だって皆と仲良くしたって意味ないもん。どーせ卒業するまでの仲なんだし。」
「そうかも知れねぇけどよ。」
「とにかく私には近づかないで。チカ変な目で見られるでしょ。」
「んな事気にしねぇよ。」
「私が気にするの。チカに迷惑かけたくないし。」
「・・・わかったよ。」
あれ、別れ話?にしては少し変だな・・・。
「じゃぁね。」
「おい!!」
「今度遊びに行くからよ、勉強教えろよな。家なら別に構わねぇだろ??」
「しょうがないなー・・・一教科につきアイス一個奢ってくれたらいいよ。授業料ね。」
そう言って意地悪そうに笑う夜咲さん。
クラスに居る時とは正反対だった。
その笑った顔が可愛いと思ったのも事実ね。
「私塾あるから、じゃぁね。」
あ、やばい。
急いで隣の教室に隠れた。
それと同時に教室のドアが開き夜咲さんが出てきた。
俺に気が付かなかったみたいで下駄箱に向かって行った。
教室に入ると長曾我部の旦那が心配そうに校庭を見てた。
「旦那ー??どうしたの??」
「あ、あぁ・・・ちょっと友達・・・と色々な。」
「そっか。」
友達・・・か。
たぶん夜咲さんが通るの待ってるんだろうな・・・・。
夕飯の準備もしなくちゃいけないからと思い「んじゃ、」と別れを告げて静かに教室から出た。