戦国BASARA
□カミサマ、この恋を
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眠い4時間目と戦い終わって今は丁度昼休み。
本当はかすがと二人だけでお昼を食べる予定だったけど何故か佐助に誘われて屋上に向かう事に。
屋上はこの1年の内に佐助や政宗が占領(支配?)して他の生徒は使用しなくなった。
あのグループは学校のアイドル的存在だからいくら調子乗ったって誰も何も言わないし、言えない。
女子は毎回毎回黄色い声のオンパレードだ。
調子に乗ったって性格が悪いわけじゃないから男子も何だかんだ言って好いてるわけで。
私はそういうの興味ないし寧ろ女子からの冷たい視線が襲ってくるから出来れば誘って欲しくなかったって言うのが本音。
かすがは美人だから女子だってなにも口出しできないのさ。
だけど私は平々凡々。いや、それ以下かもしれない。
だからかすがの分まで言われるのさ。
とんだとばっちりだよ、まったく。
タン、タンと階段を上がっていく。
足取りはタン、タンどころじゃない。もう転んで転がり落ちたいくらいだ。
屋上のドアの前でしばらく立っていたら箸を忘れて教室に戻っていたかすがが来て案の定「何やってんだ、お前。」みたいな目をされた。
ドアが自動で開くのを待ってたのさ、と冗談で言ったのにかすがは真剣な顔して「ウチの学校はそんなに性能よくないぞ。」
と言ってきたからさらにへこんだ。
別に真面目な答えを求めていたわけじゃないよ、かすが。
うん、私の変な行動に突っ込みを入れてくれたのは感謝するけどさ。
はぁ、と溜め息をついてゆっくりとドアを開ける。
いつもよりかなり重く感じるのはきっと気のせいじゃない。
今すぐにだって閉めたいさ。
そりゃ女子達から見たら楽園が広がってるだろうよ。
でも私は別に興味ないんだよ、こいつら。いや、興味ないって言うか個人個人はちゃんと友達として好きさ。
あ、いつもよりって言うのは私もたまに授業をサボってここに来る事があるから。
佐助は意外に真面目で授業をあんまりサボらない。
教室では寝てるらしいが。
勿論の事幸村も授業中はここに来たりしないが英語の時間は当たり前のように睡眠学習らしい。
ここを使う常連は政宗、元親の二人だ。
因みにその2人は屋上の合鍵を持ってて私も一個貰った。
偶然会ったとしても話さないときは本当に話さない。
私から話しかけることはない。向こうが話しかけてきたら私も普通に返すだけ。
まぁ結局は皆とつるんでるってわけ。
でもみんなと 一緒に居るのはかなり楽しいからもういっその事女子の視線はスルーして高校生活こいつらとエンジョイしようか、なんて考えたりするがいざとなると行動に移せない。
つまりはヘタレって訳さ。
笑いたい奴は笑えばいいさ。
ドアを開けたまま溜め息をしてあからさまに嫌な顔をすると佐助が苦笑しながら小さく手を振ってきた。
無駄にかっこいいからムカツク。
コノヤロー。
「ごめんね、いきなり誘っちゃって。」
「ホントだよ。悪いと思ってるなら誘って欲しくなかったさ。って言うか今度なんか奢れよ〜。」
「はいはい」
「Heyユメ、今日も相変わらずcuteだな!」
「眼科行けお前。こんな下の中くらいの奴可愛いの部類に入れたら世界の女大半可愛いわ。」
「んな事ねぇって。」
「じゃぁお前かすが見てから私を見ろ。んな事言えなくなるから。かすがと比べたら所詮私なんてゴミですよ。」
不貞腐れたようにいいながら空いてるスペースに座る。
今日は元親の隣らしい。
因みに元親を密かに想っているのは誰にも話してない私だけの秘密である。
皆に言ったら絶対バカにされるしな。
政宗なんか腹痛くなるまでずっと笑うだろうな。
話が反れたが左に元親、右にかすがでかすがの隣は佐助。
この二人は何だかんだ言って仲いいと思う。
以前スーパーで偶然佐助と会って二人の話になった時私が「めんどくせぇからお前等くっついちゃえよ」
って言ったら「それ竜の旦那と鬼の旦那にも言われたよ。」
なんて苦笑いしてたな。
そんな佐助はまぁ言わずもがなかすがが好きなわけで、かすがは上杉先生一直線なわけで。
うつくしきさんかくかんけいよ。
なんて上杉先生風に言ってみたりする。(心の中でだから)
「元親〜」
「あぁ??」
「お昼何〜??」
「やらねぇぞ。」
「なんで!」
「当たり前ぇだろ!」
「じゃぁ私のお弁当少しあげるからそのパン半分頂戴。」
「お前の弁当少しなのに俺のパンは半分なのか??なんか理不尽じゃねぇか??」
「も、元親が理不尽だなんて言葉使った・・・!オカン聞きました!?成長だよ〜使い方合ってるか知らないけど。」
「オカンって、え、まさか俺様??」
「あんた意外に誰が居るの??」
「えー・・・ショック。」
「母の日=佐助の日だから。あ、でも母の日いつだかわかんねぇ。」
「うん・・・そんなかっこよく言われても俺様嬉しく無いし。仮にも学生だよ、俺様。しかも皆と同い年。ねぇ、聞いてるユメちゃん?」
「聞いてる聞いてる。俺様はユメちゃんのオカンじゃありません!旦那のオカンなんだから勘違いしないで!でしょ?」
「全然違うから。」
「じゃぁ私の嫁に来てくれ。」
「嫁なの??」
「ユメ殿っ!そ、某を置いていくのでござるか・・・!?」
「ふっ、悪いな、幸。俺は後ろを振り向きはしない。お前はもう俺の過去だ。」
「ユメ殿ぉぉぉおおおお!!」
「なにそのコント。いつ打ち合わせしたの?」
「私と幸村の間に打ち合わせなんて要らないんだよ!って言うか幸村また腕上がったんじゃないの〜??」
「誠でござるかユメ殿!」
「誠でござる!幸村殿!!」
「・・・・・・。」
「因みに政宗君、今何考えてるか分かんないけど君だけはノリで生きないでくれ。今の幸村役をアンタがやったら私気持ち悪くてきっと吐いちゃう。」
「なんで真田がよくて俺がダメなんだ!」
「お前だけないよ!元親も無理だ!」
「なんでだよ!?」
「考えてみろ?あんたたちそんなキャラで嫁とかやられちゃう私の気持ち考えて。絶対耐えられる自信ないから、私。
意外性を求めるなら元就だよね、うん。」
そう私が言うと日輪よ・・・!!と拝んでいた元就がピクリと反応してこっちを向いてきた。
見事なまでの無表情。
冷たい刺々した言葉が降りかかってくるのかと思ったら
「・・・・我には日輪と言う新しい人生のパートナーが出来た。貴様はもう無用。
丁度よかったではないか。我等はここでもう終わりぞ。」
と何かおかしなものを食べたのか波乗りのごとくこのノリにのってきた。
「元就・・・なんかおかしなモン食ったのか??」
「黙れ長曾我部。」
「お前等・・・どうでもいいがもう時間無いぞ??」
かすがに言われて急いで携帯のディスプレイを見ると昼休み7分前。
まだお弁当一口も食べて無いし!
って言うかさりげなくかすがと佐助は食べ終わってるし!なんなのさ!やっぱりちゃっかりできてんだろお前等!
「口に出てるぞユメ。」
「あは☆ごめん☆」
「なんか俺様に対して失礼じゃない!?」
「そう??」
「私は単純に迷惑だと思っただけだ。」
「酷いなぁ・・・」
「まぁ頑張れよ、佐助!私ちょっと応援してるからさ!」
「ちょっとかよ!」
「ユメ、あと5分。」
「ちょ、えぇ!?」