薄桜鬼

□君の瞳に涙は要らない
2ページ/2ページ



好きです、って言われた。

けど胸には何故か響かなくて。


千鶴ちゃんのことは好きだと思う。

だけどそれは恋愛対象じゃないんだと。



「けど、その気持ちには答えられないんだ」



なんて酷い男だろうと自分でも思う。

自分勝手で気分屋独占欲が強くて、まぁ・・・俗に言うSで。


こんな自分を好きになってくれた子が居るのに、こんな可愛くて素直でいい子なのに。

自分の中で選択肢は一つしかなかった。


それは千鶴ちゃんがダメとかそんなんじゃなくてただ単に
ユメじゃなきゃダメ、って言う僕の最大のわがままであり、ユメへの依存であり。


当たり前のように隣に居たユメは今隣には居なくて。

いくら平気な振りをしてもどれだけ平然を保とうとしてもやっぱり心は確実にユメだけを求めていた。


気付いたときには彼女は完全に僕の手から随分と離れたところに居た。



「まだ、好きなんですか?」


「誰を?なんて言ったら流石に千鶴ちゃんも怒る?」


「・・・・・。」


「まだ、好きだよ。きっと、ね。」


「・・・そんな感じします。」


「千鶴ちゃんの事も好きなんだ。でも、そういう好きじゃないんだ。ごめんね。」


「分かってました。」


「・・・・そう・・・」


「沖田さん、部活中もユメちゃんの事目で追ってたり・・・分かってたけど諦められなくて。」



千鶴ちゃんは後輩だけどユメの事をユメちゃん、って呼ぶ。

平助君もユメだし。


ユメ本人も全く気にしないで好きに呼ばせてる。

誰にでも優しくて裏表のない性格で。



「ユメと出会ってなかったらきっと千鶴ちゃんの事を好きになってただろうな。」


「ユメちゃんの事恨めって言うんですか?」


「そうじゃないよ。君はそれくらい、素直でいい子って事。」


「でもそれはないですよ、きっと。」


「どうして?好きになるのはきと僕じゃない?」



冗談混じりに言うけど千鶴ちゃんは穏やかな笑みを浮かべながら首を横に振る。



「私はもう一度、きっと沖田さんのことを好きになります。でも沖田さんも私と同じできっとユメちゃんのことをもう一度、好きになります。」


「出会ってなかったら、の話なんだけど?」


「いいえ。沖田さんはユメちゃんとどんな世界でも出会うんです。じゃなきゃ沖田さんは私の好きな沖田さんじゃないんです。」



彼女は言った。けど、いまいち僕には分からなかった。

彼女の、千鶴ちゃんの言葉はどこか確信を持っていて、何でそんなに確信付いた言い方が出来るのか、わからない。


僕自身のことを言われているのに。



「・・・・つまり?」


「詰る所お前はユメが居なければ始まらない、って事じゃないのか。」


「斎藤さん!」


「お前ら、部活動の活動時間を知ってるか。」


「あぁ、大分過ぎちゃってるね。」


「呼んで来いと俺が頼まれたんだ。」


「す、すみません。」


「悪いけど僕は今日の部活行けないや。」


「?体調が優れないのか?」


「ううん?全然。でもどこかで勘違いしてる子が居るから笑顔にしてくる。」


「は?」



二人共ぽかん、とした顔。

二人のあの顔は忘れない。


あの二人お似合いだなぁ、なんて思ったけど言わなかった。

千鶴ちゃんの慰め役は僕じゃない。



僕はあの子の、彼女の、ユメの、
ユメだけの、ラフメイカー。






















































誤解を解いたら君は笑ってくれる?

僕を受け入れてくれる?


こんな馬鹿な僕だけど
また好きになってくれる?



そしたら先ずは思い切り
抱きしめようかな。

そのあとにごめんね、って言って

あわよくば仲直りの、
復縁のキスをしよう。




やぁこんにちは、君を笑顔を持ってきたよ。



(呆れた・・・。けど誰よりも愛してる。)

彼女は僕の腕の中でった。



FIN.

10.11.6




アトガキ

水桃様HWリクで切→甘
お相手は総司さんでした^^
切からの甘という事でリクエストでは
初めての挑戦でしたがいかがだったでしょう・・・('・ω・`)

自信が微塵もございません。

お持ち帰りは水桃様限定です。

ご自由にどうぞ^^
リクありがとうございました!



前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ