薄桜鬼
□個人的には
1ページ/3ページ
「・・・・あ、」
「んー?どうしたのー?」
冷蔵庫の近くに貼ってあるカレンダーの今日の数字に「ユメ」と書いてある。
一瞬何がユメなのか考えたが答えはすぐに出てきた。
「ユメ、」
「なに?」
「今日誕生日」
「あ、そうだった。」
「おめでとう。」
「うん、ありがとう。」
「何か欲しいものは?」
「んー・・・マグカップ。」
「マグカップ?」
「うん。マグカップ。」
「・・・買いに行く?」
「うん。やった、烝とデートー。」
準備してくるー、やる気のない声でお気に入りのソファで読んでいた本を閉じてパタパタと部屋に入っていった。
ユメの誕生日は毎年こんな感じだ。
毎年互いに忘れないようにカレンダーにはマークするがやっぱり忘れる事もある。
プレゼントを用意していればまだ覚えていられるかも知れないが
如何せん俺は女心と言うものが全く分からない。
だからプレゼントなんて何を渡したらいいのかもさっぱりだ。
以前雪村君に相談したのだが「好きな人から貰ったものならなんでも嬉しい」と返された更に困ったからやめた。
当日ユメに何が欲しいか聞いて時間があったら買いに行って直接プレゼントする形を取り始めた。
ユメも欲しいものが手に入るし俺も困らなくて済むから助かるのだがそれを仕事仲間の沖田さんに話したら
「それってユメちゃん可哀想じゃない?だって誕生日忘れられてるしプレゼントも自分で決めて買ってもらうだけでしょ?よく続くね。」
なんて言われた。
やっぱり女性は何かをサプライズで貰うほうが嬉しいのだろうか。
「烝ー行くよー」
「あ、あぁ。」
いつの間にか準備とやらが出来たユメが部屋から出てきた。
長財布だけ持って化粧もしていないであろうレン。
明らかに近くのコンビニ行ってきますな格好だ。
着飾らないユメが好きな俺は別になんとも気にはしないがこの前偶然出かけ先で遭遇した仕事仲間の原田さんに「お前等それどうなんだよ」とか言われたのは記憶に新しい。
俺は俺でスーツで出かけることが多い。
私服はなんだか落ち着かないし私服で出かけた時出かけ先で偶然遭遇した仕事仲間の永倉さんに「お前の私服初めて見たけど何とも言えねぇな。」とか言われたことがあった。
センスの問題なのかただ単に似合わないのかは分からなかったがその日からあんまり私服で出かけることは少なくなったのは確かだ。
ユメには全然違和感ないけどね、と言われたがなんとなく胸にしこりが残ったのでスーツで出かけることが多い。
「帰りケーキ買ってね。」
「3個までなら。」
「了解了解。」
前はここで4個だのと掛け合いがあったが俺も頑固だから結局折れたのはユメだった。
それからは誕生日ケーキは3個までと2人の決まりが出来た。
「車出そうか?」
「ユメの運転は危ないからやめておく。」
「失礼な。」