present

□僕の小さな世界
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「姉さまはカルトが好きなの?」


「え・・・?」



僕には"好き"って云う感情が分からない。

もちろん姉さまのことは好きだ。


だけどそれは姉さまがカルトを想う"好き"とは違う。

二人の間には"アイ"がある。


僕と姉さまの間にも勿論ある。

けどこれもまた違う。


具体的に何が違うのか分からないけど、さ。



「二人とも紅茶淹れましたよ」



嗚呼、二人の、二人だけの世界が終わってしまった。





「・・・・」


カルトは嫌い、ではない。

苦手なのだ。


でもカルトが居ると姉さまは遠いひと。

今度は姉さまとカルトの二人の世界。


このときだけはどうしようもないほどの喪失感。

僕の世界には姉さまとカルトしか居ないのに。



「ソルテ、熱いから気をつけて。」


「あ、うん・・・」


「・・・・・・。」



時々、思う。


いつかカルトが姉さまを連れて何処かに行ってしまうんじゃないかって。



そう、僕を、おいて。

そう考えるとやっぱりカルトは嫌いだ。



「シィゼ、」


「なに」


「はい、シィゼの分」



にっこり笑って渡された僕のマグカップ。

僕はその笑顔が嫌いだ。


変に清々しくて、心がもやもやする。

だけど僕がカルトをどんなに嫌いになったって姉さまがカルトを好きなのは変わらない。



僕が嫌いになったって、

「僕の世界には2人しか居ない。」


「シィゼ?」



差し出されていたマグカップをしょうがないから受け取る。



「僕の名前気安く呼ばないで」



それは本当に認めたくはないのだけれど。



「あぁ、ごめん。」



カルトはまた、笑う。

あ、そっか。



「僕は、悔しいのか。」


「シィゼ?」


「シィゼ・・・今日、なんだか変だよ?」



それは嫉妬に似ていて、



「ううん、なんでもないよ姉さま」



本当は少し、寂しかったのかも知れない。


姉さまが折角カルトのこと好きでいてくれてるのにカルトは自分を偽るから。

まぁ、それに関してはホントに殺してやりたいくらいだけど。


そんなこと口に出したら姉さまがきっと悲しい顔をするから絶対に言わないけどさ。


詰まるところ僕の世界には2人しか居ないっていうのにカルトは自分を偽るからたまらなく悔しくて寂しかったんだ。


僕らが傷つかないようにとカルトは優しく嘯くから。



「・・・・」


「シィゼ、具合でも悪いのか?」



それでもカルトは僕の名前を優しく呼ぶんだ。



「だから気安く呼ばないで」


「シィゼ、反抗期なの?」


「カルト限定」


「俺だけかー」


なんだか複雑だなーって言って笑うカルト。


カルトの笑顔は僕に向ける、優しさの塊。

しょうがないから今日は許してあげる。





いつか僕は感情の起伏が激しいんだと言われた。


自覚はない、がそう言われたならそうなんだろうけど姉さまとカルトだけは僕に優しくしてくれる。

もう僕の周りには二人しか居ないけど。



「・・・うわ、甘、」


「え、?あ!ごめん!ソルテと同じ量の砂糖いれた!!」


「・・・やっぱ許してあげない」


「ホントごめん!すぐ淹れなおすから!!」



僕からマグカップを取ると急いで部屋から出て行った。

騒がしい。



「カルトは僕たちに自分でさせるってことをしないよね」


「うん・・・、そうだね。」


「砂糖なんて自分で勝手に入れるし紅茶だって自分でいれる。」


「知りたいの、きっと。」


「え?」


「多分、カルトもカルトなりにシィゼのこと、もっともっと知りたいんじゃないかな。・・・だから分かってあげてね。」


「姉さまがそう言うなら。」


「ありがとね。」



薄く笑む姉さまは普段よりもっと綺麗。

姉さまが笑ってくれたなら、それでいい。



「ごめんなーシィゼ」



来たか、と思ってキッて睨んでやればカルトはまた笑う。

差し出された紅茶を仕方なく飲んであげれば甘さもまあまあ。


顔に出てたのか姉さまとカルトが顔いっぱいに笑った。

この笑顔はよく2人で居るときの顔。


それを向けられるというのは少し恥ずかしい感じもするけど悪い感じはしなかった。


いつの間にか心にあったもやもやもすっかり消えていた。

まぁ、いいや。







































































(だからってカルトのこと好きって云う話にはならないけど。)

それでも僕の世界は音を立てながら廻る。



FIN.

11.3.5





水桃様の素敵サイト「桃色プリュイ。」にて
創作キャラのソルテ、シィゼ、カルトの3人の小説を
恐れ多くも書かせていただきました!

他サイト様の創作キャラ小説は
初の試みでございまして
かなり不安でしたがなんとか完成しました^^

毎度ながら低クオリティの作品ですが><

お持ち帰りは水桃様のみでお願いいたします。
作中の画像も水桃様のみお持ち帰りいただきまして
他の方はお持ち出しはご遠慮ください。








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